年齢不詳な若人が唄の話を中心にアレコレと・・・


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「おばちゃんとお母ちゃんとお母さんと母さん」

むかし、初井言榮という女優がいた。
亡くなったのは平成2年だから、世を去ってから既に四半世紀近い歳月が流れている。
生前は名脇役として名を馳せたが、今では知る人も少なくなっている、と言われそうだが、そうでもない。
長編アニメ映画「天空の城ラピュタ」のドーラ役は、亡くなって久しい今でも親しまれている。
名前を知らない人だって、ジブリの威光でドーラは知っている。
亡くなって年月を経ると、どうしても忘れられる。
早世したのは惜しいが、声の仕事とはいえ残る仕事があるだけ、初井言榮は幸福な女優だったのかもしれない。

初井の代表作となると、大映ドラマ「ヤヌスの鏡」や、昼ドラ・ライオン奥様劇場の嫁姑シリーズなのだそうだが、私は断片程度でしか知らない。未見と言ってもいい。大映ドラマは、色眼鏡で取り上げられすぎて、今のところは素直に見られそうもない。後者の再放送情報は入ってきたことがない。

数年前、再放送で「三男三女婿一匹」というドラマを観た。
森繁久彌主演の大家族ホームドラマで、病院が舞台だ。
森繁、山岡久乃に準レギュラー(特別出演)の杉村春子目当てで観ていたが、婦長役で出演していた初井にも目が留まった。役名が石川絹代。これは石川さゆりの本名だが、まあ偶然だろう。
独身を通しながら長年医療の現場で奉仕、元上司で院長夫人の山岡を尊敬し、院長の森繁に思慕の念を抱く婦長・・・と書けば、しっかりとした中年女性の役のように思うかもしれないが、そうでもない。
ドラマでは厳しい婦長の面よりも、愛嬌たっぷりな乙女な面の方が強調されていた。

白眉は正月に振袖姿で院長宅へ年賀挨拶を行う回。
おめでとうございますと現れるのだが、かなり可笑しい。でも、どこか愛嬌がある。ただ、可笑しいだけとかグロテスクとかそういうのではない、似合っていないんだけども似合っている感じがある。
その姿で麻雀で腕を振るシーンもあったが、そのときのきびきびした物言いは鬼婦長の名にふさわしいものなのだ。
これはとんでもない女優なんだ、ということが私のなかでインプットされた。

「おばちゃんとお母ちゃんとお母さんと母さん」というのは、彼女唯一の著書で遺著になる。
インターネットでこの本を知ったとき、私は題名から役者人生を振り返った自叙伝エッセイだと思った。前述の「三男三女~」で初井の名が印象に残っていたので、いい機会だから買って読んでみようと思った。

本が届いた。
帯の推薦文は村松友視。山野史人(初井の夫で、青年座の俳優)の文によると、出版に至るまでに村松が尽力したのだそう。
村松友視と初井言榮、つながりがあまり見えないが、おそらく村松が青年座の舞台を観るなりして交友があったのだろう。人脈の幅の広い人である。

では、早速読んでやろうと頁をめくってみると・・・アレ?
この手で見当を外すのはまずないのだが、思っていた内容とはちょっと違っていた。

「おばちゃんとお母ちゃんとお母さんと母さん」というのは、自分の女優として歩んできた人生で絶えず脳裏にあったという、4人の女性のことだという。
この本はその人たちのエピソードを、大好きなおしゃべりをするように綴ったのだそうだ。
癌に侵されながらの執筆だったため、病の進行と共に執筆の気力が徐々に失われ、完成するまえに容態急変で逝ってしまったという。

四人の女性、それぞれ箇条書きにすると
・おばちゃん:最初の夫の面倒を見ていた伯母(実質的な姑)
・お母ちゃん:現在の夫(山野史人)の母(姑)
・お母さん:最初の夫の母(姑)
・母さん:実母
なのだそうだ。

ちゃん付けとさん付けの違いなのだろうか、ちゃん付けで書かれた二人の話は読んでいて楽しい。まさにおしゃべりをするように書かれている。
重い話も出てくるが、軽めの筆でサラリと書かれているせいで、ややもするとさらりと読み飛ばしてしまいそうになる。

"お母さん"の話はしんみりとした話。
三度しか逢う機会がなかった人なのに、慎み深い、忘れがたい印象を与えた女。
感傷っぽいといえばそれまででしょうが、それだけに作者が繊細な感情の持ち主であることも伝わってくる。

最後のひとり。
これら三人の話のなかでもチラチラ登場していた、実母"母さん"。
子どもの頃の、母と娘の、本人にとっては宝物のような思い出ばなしが披露されるも、どこか哀しい。縁の糸のもつれで、家を出て最初の結婚をしたことで、縁が切れ、それから3年後に母が急死してしまったということが一因だろうか。
急死の知らせを聞いたときの話は載っていない。
病気がそれ以上書くことを許さなかったようだ。
そのせいか本は、仕事で瀬戸へ行った際に思い出した、母との想い出で終わっている。

横浜の裕福な家に生まれるも、早くに父を亡くし、姉たちと離れ、母とふたりで家を出奔。以後ふたりきりの生活だったり、母方の親類のもとで暮らしたり、母子別々になったりした後、母が再婚し三人家族の生活。邪険にされていた継父が、年頃に差し掛かった頃から女として見るようになり、嫌悪感を抱き、家出同然で結婚。母との縁が切れる、それから3年後に母は逝去。
結婚から10年経ち、離婚。心身のバランスを崩し、一時休業を余儀なくされる。
仕事復帰後、劇団の後輩だった山野史人と再婚。3年の闘病の末、胃がんのため逝去。


本から読み取れる初井言榮の半生をまとめてみた。
波瀾万丈である。本の後半が哀しさがにじむのは納得だ。
でも、彼女は恨み言は全然書いていない。
継父に対する言葉だけはハッキリしているが、それだって、必要最低限のことした語っていない。
やさしさと愛嬌とやんちゃと、ちょっぴり淋しそうな目が浮かんでくるばかりだ。
文は人なり、というが、まったくこの本はその通りという気がしてならない。

もう中古でしか入手できないし、いわゆる芸能人エッセイに分類されるだから扱いは悪い。
芸能人エッセイを評価する動きでも、どちらかといえば面白可笑しい類のものしかなされない。
今でいう芸能人ブログのレベルの範囲のなかだと言われれば、残念だがその通りだろう。

おそらく、このまま埋もれたままの1冊なのだと思う。
だが、私は読み終えたこの本に不思議な愛着を覚えている。
ちょっとした謎、そして余韻を残した、そう上質の芝居を観たような、そんな気分を味わうことが出来たから。

女優で、こういう本も遺せたのだから、やっぱり初井言榮という人は幸福な女優だったはずだ。
かもしれない、ではなく、そうだのだ。少なくとも私のなかでは。
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by hakodate-no-sito | 2013-04-27 00:48 | 古今俳優ばなし | Comments(3)
Commented by ちばこ at 2013-04-28 09:49 x
初井さん、名前聞いたことあるし、
『天空の城ラピュタ』は、何回も見てましたからね。
Commented by ちばこ at 2013-04-28 11:52 x
我を通して、しまう人間。
だから、腰の低い方は、頭が下がります。
Commented by hakodate-no-sito at 2013-04-28 20:44
「天空の城ラピュタ」は、名作ですものね。
初井さんのドーラも、ラジオドラマや洋画の吹き替えでも活躍されていただけあって、違和感はまったくなく、名演だと思います。