年齢不詳な若人が唄の話を中心にアレコレと・・・


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永井一郎の死に想う / 北廉太郎を知っていますか

先日、永井一郎氏の訃報が届いた。心より哀悼の意を表する。
私の生まれる遥か前より活躍されていた方で、物ごころ付くときには既にブラウン管の向うに居て、親しみを感じていた。テレビッ子、アニメッ子だった子供の頃。本放送末期や再放送で見たアニメでどれだけ永井一郎に接したか。「らんま1/2」や「うる星やつら」をビデオ、テレビにかじりつくように見ていたあの頃は、「サザエさん」を含め、毎日永井一郎に接していた。気付いていないものも含め相当触れていたと思う。

20世紀から21世紀となり、ブラウン管から液晶テレビへ入れ替わり、セル画からデジタルに変わっても、永井一郎は現役のまま、特に意識せずとも、どこかで声を聞く機会が有り続けた。
タイ子さん役の声優が代わったと聞き、2週ぶりに「サザエさん」を見た次の日の訃報。最初はインターネットのいわゆる「釣り」だろうと信じられなかった。今でもまだどこか実感が沸かない。2月9日放送分までは「サザエさん」の収録を終えているということだし、他にもまだ放送されていない仕事もあるだろう。
居て当たり前だった人が居なくなる喪失感は、もう少し先に襲って来るのだろう。

様々なことが脳裏をよぎる中で、火曜日に再放送していた「サザエさん」。オープニングの後に入るCMにサザエ(おはぎで知られる菓子製造会社)や、先日亡くなった小林カツ代の出ているグリコ・熟カレーだったことが思い浮かんだ。
火曜日のサザエさんの再放送が終ったことも、カツオ役の高橋和枝も亡き人となったことも、随分経っている。
つい先日のはずだった1990年代が遠い昔になって来ていることに改めて気付いて、ぞっとした。

学生には3・11以前が断絶感のある過去に感じている、と聞いたことがあるが、確かに00年代(2001-10年)も充分昔になっている感覚は否定出来ない。
これでは、昭和が遠くなっているのは当たり前であり。懐かしがる人がどんどん減るのも無理もなく、題材に取られ描かれた世界がファンタジーになっているのも仕方ないのかもしれない。
だからこそ、忘れてしまわないようにとりとめのないことでも話題に出していくこと、知っている人はなるたけきちんとした情報を発信すること、知ろうとする姿勢が、今後より重要になって来るだろう。


今、私の部屋で再生しているCDは、ぐらもくらぶというレーベルから発売された「伝説の歌声シリーズ 北廉太郎"ヴォルガ哀愁"」(G-10008)というアルバム。収められた23曲の音源は昭和12(1937)年から昭和15(1940)年発売のものばかりだから、70余年前の作品を聴いていることになる。

北廉太郎は、大正9年の生まれで昭和15年没。
もはや歴史の彼方にある人と云っても、言い過ぎでは無くなっているだろう。
「懐メロ好きなんです」と言っている人でも、SP盤収集を行っている人でも無い限り、名前ぐらいしか知らない、または2-3曲しか聴いたことがないという人が多いのではないだろうか。
ただ、北の哀愁あふれる歌声は一度耳にしたら忘れ難く、よくは知らないが気にはなっているという人もまた、少なくないと思う。

この「伝説の歌声シリーズ 北廉太郎"ヴォルガ哀愁"」は、北廉太郎の歌声をまとめて聴くことの出来る、初の一般向けCDアルバムになる。

---------------------------
ぐらもくらぶCDとはなんぞや?と言うことですが、これはザックリと言ってしまうとSP盤(蓄音機で聴くレコード)時代をメインに様々な音源を、開放してもよいと言う有志と共に世に送り出そうというものです。
ともあれ、明治・大正・昭和期の音源で、埋もれたものでも選りすぐってみると、現代でも楽しめる、また意義のあるものは沢山あります。これらを時代の垣根を飛び越えて皆さんで楽しめたらどんなによいだろうか、と言うのがこのCDのコンセプトです。
---------------------------
というコンセプトのもとで活動を続け、2012年から2014年1月末の現在までで7タイトルを送り出しているぐらもくらぶでは初となる(王道的な)流行歌を大フューチャーしたアルバムが北廉太郎の本アルバムだ。

キタレンとは、いかにもぐらもくらぶらしい目の付けどころだし、これまた意義のあるものを出したなァと頭が下がった。

近年の和ジャズブームで戦前ジャズの再評価や復刻(こちらも、ぐらもくらぶが関わっている)が進んでいる。ただ、同時期の流行歌はというと、一歩も二歩も三歩も遅れているのが現状だ。
流行歌史を見てゆくと、気軽に聴けない歌の何と多いことか。溜息が出る。
その遅れがちだった最右翼のポリドールの流行歌が、昨年12月に第一弾として「戦前オールスター・ヒット・パレード大全集」「はたちのバタヤン大ヒットパレード"大利根月夜"」と2タイトル各2枚組CDにまとめられた。
希望の光が見えて来たのである。

その復活の露払いが、実はこの北廉のアルバム(昨年6月発売)である。
ポリドールの流行歌音源(正しくは数曲タイヘイ音源も収められている)がこれだけまとまって、きちんとしたリイシュー盤として一般向けアルバムで発売されたことは殆ど無いのだ。

意義や価値ばかりをつらねてしまったが、勿論内容は素晴らしい。
何せ、ぐらもくらぶのアルバムだ。太鼓判を押された作品を選りすぐっているいることは言うまでもない。
ぐらもくらぶレーベル始動当初よりも、さらに音質が上がり、流行歌のサウンドがこれでもかと浸ることが出来る。特にアルバムの表題にもなった「ヴォルガ哀愁」冒頭、コーラスのハミングには震えが来る。田端義夫が後年カバーした「夢のゆりかご」や「出船の唄」も収められているので、田端音源を持っている人には聴き比べという楽しみ方も可能。

思い込みというフィルターを少し外していくと、楽しみが増える。
歴史、文化、音楽・・・古くたって良いものは良いのだし、たまたま発表された時代が古かっただけということも大いにある。新しいものが正義ではないのだ。

様々な可能性を秘めた、色々気付かされるきっかけにも、このアルバムはなり得ると思う。

演歌でもない、歌謡曲でもない、流行歌というサウンドが再び評価されることを祈ってやまない。
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by hakodate-no-sito | 2014-01-30 17:25 | つぶやき | Comments(0)