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「ミュージックジョイ」視聴記

江利チエミ、島倉千代子。
昭和が生んだ不世出の大スター。
1960年代の紅白歌合戦を見ると、そのオーラ、歌声、曲順。
いかに大物であったか、そしてそう遇されていたか、わかるし、想像することが出来る。

二人は美空ひばりのライバル格として、それぞれ語られることはあっても、この組み合わせで話題が出るということは、あまり聞いたことがない。

40年以上前、オールスター大会ではなく、1対1の顔あわせで作られた音楽番組がある。
「シャボン玉 ミュージックジョイ」。
大スター二人の、貴重な競演。

縁があって、拝見する機会があり、備忘録がわりの見聞録をその際認めていたのだが、うっかり紛失してしまい、それきりだった。ところが最近、それがひょっこり出て来たのだ。
昨年、島倉千代子も亡くなった。
折角の機会だから、今回それを基に手直しをし、ここに公開することに決めた。
いくらかでも、音楽番組全盛期の匂い、そして何よりも二人の人柄を伝えることが出来たなら嬉しく思う。

-----------------------------------
テーマ音楽が流れている。
画面には提供テロップ「牛乳石鹸」。
暗闇のスタジオをピンスポットが照らす。
白い幕が掛かっている。その前に人が立っている。ボブヘアーに紫のマフラー、全身白のパンツルックの江利チエミが、小刻みに身体を揺すりリズムを取っている。左手にはハンドマイクが握られている。
提供テロップが消え、チエミが話し始める。
「皆様こんばんは」
シャボン玉ミュージックジョイ No.41
番組タイトルテロップが映る。
「初めて、このミュージックジョイでご挨拶します、江利チエミです」
「そして今夜の私(わたくし)の素敵なパートナー、島倉千代子さんです」
お千代の方を向き、一礼し、どうぞと招き入れるチエミ。柔かな笑みを称えながら画面右から出て、チエミに頭を下げるお千代。
「もうちょっとこっちにどうぞ」「ハイ」
カメラ(視聴者)に向かって一礼するお千代。
すかさずマイクをお千代のもとへ寄せるチエミ。
ざっくばらんに「楽しくやりましょう」と声を掛けるチエミ。
「はい、お願い致します」と、はにかんだような口調で、あくまで謙虚にチエミを立てるお千代。
「ねッ。今日は久しぶりですもんね」
「はい、楽しみに参りました。よろしくどうぞ」
二人とも、実にいい笑顔を見せている。
テーマ音楽が終わり、お千代は中島弘子のように肩から上を軽く横に曲げ、チエミはさぁと左手を前に伸ばし、それぞれ〆のポーズ。CMへ。

スタジオを上から映すカメラ。
雪を意識したセットを、画面左右から蛇の目を持った人が歩いてくる。
左の人が片手でジェスチャーを交えながら、声を掛ける。
「あの、もし。賑やかな京都と静かな京都、どちらがお好き?」、ちょっとおどけた声でたずねるチエミ。
「静かな京都が好きですね」、応えるお千代。
「じゃあ、わたくし賑やかで参りますワ」
すれ違っていく二人。
カメラが切り替わり、白地に黄緑の三日月をあしらったの二色混じりの蛇の目を持ったお千代が歌い出し(アテレコ)、曲名テロップが出る。
「女ひとり」(作詞永六輔 作曲いずみたく)
♪恋に京都 大原 三千院 つかれた女がひとり
昭和41年にデュークエイセスが歌いヒットした曲。島倉は平成に入ってから、この歌をソフトロック風に軽やかに唄ってCDに入れているが、ここではしっとりとしたお千代節で披露している。
1コーラス歌い終え左へ去るお千代の姿が上から映され、今度はチエミが画面に映る。やはり蛇の目を持っている、こちらは白地に朱色の三日月があしらわれている。

♪京都 栂尾 高山寺 恋につかれた女がひとり
賑やかな京都で参りますと言っていたが、こちらもしっとりとした京都をイメージさせる編曲。いやいや、喧噪の中の静けさか。
勿論チエミもアテレコ。まったく狂いなく、音声と口の動きが合っている。
美空ひばりもリップシンクの達人だったが、江利チエミもまたそうだった。
身の動きにも無駄がまったく無い。アメリカのショービジネスの人にも通じるものがある。

後奏が終わる頃、画面左からお千代がやってくる。やはり蛇の目は持っている。
「こんばんは」京言葉で声を掛けるお千代。
「こんばんは」ちょっぴりおどけた口調で合わせるチエミ。
顔を合わせ、ふふふと笑い合う二人。
「いいムードですねぇ」
オープニングよりも、幾分柔らかめに話しかけるお千代。目上を立てつつ、慕ってる感じが伝わってくる。
「京都ってどうしてこんなにいいのかしらね」
「素敵ですねぇ。それに、今日は、セットが雪ですし」
「うん」この相槌は素の声だと思う。人懐っこい感じがする。
「おこたに入って、一杯こう、キューッと。いいですねぇ」ジェスチャーを交えて話すお千代。聞き逃さないチエミ。
「アレェ?」大きな目を一層大きくして笑みを浮かべるチエミ。
「あっ!」
「アレェ、初めて聞きましたよぉ!」声は明るいがどうしたのという顔をしているチエミ。
「アレェ、イケナァーイ」
顔を押さえて恥ずかしそうにそうにするお千代。
「呑めるようになったんですか?」
「少しだけ」うつむきながら答えるお千代。チエミの方を向いたときは淋しそうな顔をしている。
「少しだけ・・・いつから呑めるようになったんですか」表情で明るくない酒と察したか、チエミの声は優しい。
「あのー・・・去年の暮れから」
さらっと話すお千代だが、涙目である。
「あっ・・・」
諒解したチエミ。うんと頷くお千代。
「お母様のときでしょう」
「あのね、日が経つにつれてね、だんだん淋しくなってね」
「うん。判るわ」真顔で相槌を打つチエミ。この頃までに母、甥、次兄、長兄と大事な肉親を失い離婚も経験している。声にも実感がこもっている。
「全然呑めないのに、この・・少しづつね」
「でも」
「でも、薄いですよ」
「いえ、手つきで行くと大分・・うん」
ジェスチャーを交え、場の空気を戻そうとするチエミ。だが表情は暗いまま。
「イケそう?イケない私(わたし)」
笑いながら応えるお千代。こちらは既に平常に戻している。
「うん。今日は、この一杯機嫌で、機嫌よく今夜は参りましょう」
はいと応え、会釈し下がるお千代。
同時に御馴染みの曲の前奏が流れ出す。
カメラに蛇の目が映る。くるくると回っている。回しているのはチエミ本人だ。傘を横に持ちながら回し、パッと顔を隠しリズムを取り、前奏終りと共にヒョイと覗かせる。
♪なんだ なんだ なんだ ネー
江利チエミ十八番「さのさ」(作詩:三井良尚 作曲:不詳)
洋装でこの歌はどうなのかと思うかもしれないが、これが全く違和感無いのだ。和洋折衷の魅力を持つチエミならではだろう。
♪でも 淋しいのよ
袖の代わりにスカーフで顔を隠す形で〆るチエミ。小粋な演出だ。おそらく本人のアイデアだろう、そうとしか思えない。

続いてお千代の「すみだ川」(作詩:佐藤惣之助 作曲:山田栄一)
♪銀杏がえしに 黒繻子かけて 泣いて別れたすみだ川
蛇の目ではなく、マイクを持ち、唄う。
もとは東海林太郎のヒット曲を、懐メロブーム最中の昭和44年にお千代がレコーディング。スマッシュヒットとなり紅白でも2回披露、お千代に欠くことの出来ない1曲として最期まで歌っていた曲。
お千代は幼少期東海林太郎のファンでファンレターまで出した程。レコーディングに至るまでも、もともと愛唱歌で歌い込んでいる歌をさらに稽古を重ね、東海林本人のお墨付きを得る経緯を経ている。またお千代のレコード発売から数年のち、コロムビアから新録音で発売された東海林のアルバムにお千代が客演し、共に「すみだ川」を唄った録音も遺されることになった。
なおファンレターは東海林から返信が届いた上、後年お千代が東海林にその話をしたところ、何と覚えていたという嬉しい余話が残っている。

「すみだ川」を歌い終えたお千代をめいっぱいの拍手で迎えるチエミ。
スタジオには洋椅子がふたつ用意されている。左側にチエミが座っている。

「まぁ、先輩に拍手して貰えるなんて光栄です、ありがとうございます」
と頭を下げながら、椅子に腰かけるお千代。
「ひとりで済みませんけど(笑)」
「いえ(笑)」
「いつ聴いても、この唄いいですね」
「そう・・・ですね、日本の情緒そのもので」
「で、うん・・・お千代さんの、またその『貴方が二十歳、私が十七』っちゅうところ、まったく若いんだもの。全然若々しい」
「そうですかぁ」
「うん、全然歳取らないんですねぇ」
「いえ、そんな、そんなに・・・(笑)」
「ンー、やっぱり、ほんとに、こんな恰好して、あんな歌うたうとなると全然情緒が出ないけど、着物を着て・・・」
「そう、ですねぇ。やはり、全然着物って日本のものですからね」
「ねえ」
「やっぱり、こう、しゃんとしますよ」
「そうでしょう。あたしなんかダメだなぁ、グズグズになっちゃって。今日着物来て下さいっていうから、島倉さんと一緒だからイヤですったの(笑)」
「そんなぁ、どうしてですか」
「イヤよぉ、ヘタなんだもん、着方が」
「そんなこと、とんでもないです」
「あの・・・今日はね、とにかく一度、素朴な世界にね、もいちど帰りたいということで」
「いいですねぇ」
「帰ってみましょうか」
「今日はね
「うん」
とっても可愛い人たちが沢山見えてンです」
「うん、じゃあ皆さんにうんと素朴さを出して頂いて、私たちもそれにあやかって」

カメラ切り替わり、菜の花が写る。
スタジオには菜の花と、野山を意識したセットが置かれている。
着物姿の子供たちが居る。
児童合唱団の子どもだろうか、子役劇団の子たちだろうか。
セットに腰かけたり、三角座りで円陣を組んでいる。
歌は「おぼろ月夜」(作詩:高野辰之 作曲:岡野貞一)。混声児童の歌声。


歌い終わり、照明が暗くなる。画面左上から、ゆっくりとお千代がセット上段を上ってくる。
子供達から菜の花を右手で受け取り、左手に持ったマイクで唄い出す。
「波浮の港」(作詩:野口雨情 作曲:中山晋平)
藤原義江が唄ったことで世に広まった抒情歌の名曲。
この番組から20年余、お千代はドキュメンタリー映画「ララ、歌は 中山晋平物語」で語り部を務めることになる。

続いて「出船の港」(作詩:時雨音羽 作曲:中山晋平)、リズミカルなアレンジだ。
♪シャシャバラバ、アゥアゥ
スキャットをまじえ、スウィングして唄うチエミ。
♪どんと どんと どんと波乗り越えて
この歌はレコードになっていなかったと思う。チエミ節が効いていて、ノリも良く楽しい。

明るく賑やかに〆め、暗転。

暗闇からピンスポットでお千代が現れる。
「チエミ先輩が入ってらしたら、スタジオの中がパーっと明るくなりました。いつも明るくって、元気で、ハツラツとしてるチエミ先輩。
いつでも、どんなときでも、遠くからでも、声を掛けて下さるんですよ。そして、御自分のペースでお仕事なさってらっしゃる。とっても素晴らしいと思います」

語り終え、前奏が流れ出す。
この当時のお千代の新曲「人生七ころび」(作詩・曲:りゅうはじめ)
♪恋の背伸びはしちゃダメと 母の言葉を思い出す
この当時既に、結婚離婚、3度の中絶手術、失明危機、親族との確執・借金、両親との死別・・・と、人並み以上の波乱を乗り越えてきたお千代。
だが、お千代の波乱万丈人生は、まだまだ序章に過ぎなかったとは、誰が想像出来ただろうか。

続いてチエミの番。
「人生七こころび・・・本当にに千代ちゃんの歌の通りだと思います。あたしなんか今、転んで起き上ろうっとしてる、ところかな。起き上ります」
チエミが唄うのは「城ヶ島の雨」(作詩:北原白秋 作曲:梁田貞)
♪雨は降る 降る 城ヶ島の雨
チエミはもともと歌謡界の人ではないから、番組内容に添った柔軟な選曲を行うことが出来たのだろう。
この歌は、昭和36年発売のアルバム「チエミのムード歌曲」に収められ、現在は江利チエミのCD-BOXにも選曲・収録され、聴くことが出来る。

起き上ります。
この言葉どおり、チエミは有言実行を果たし、番組から約2年後「酒場にて」のヒットが生まれる。
お千代も、チエミも並みの人ではない。

チエミが歌い終わり暗転。
わーいという子供の歓声。
「叱られて」(作詩:清水かつら 作曲:弘田龍太郎)の前奏が流れ出す。
スタジオには二つの洋椅子。
左の椅子に座ったお千代が映り、腰かけたまま唄い出す。
♪叱られて 叱られて あの子は町までお使いに
お千代の目はうるんでいる。

1コーラスが終わったころ、チエミが画面左側からやってくる。
そしてお千代のもとへ近寄り、後ろからそっと肩に手を掛け、アイコンタクト。
二人頷き合いながら、チエミも椅子に腰かけ、唄いはじめる。

♪叱られて 叱られて 口には出さねど 目に涙
チエミの目もうるんでいる。
とうとうお千代も堪え切れず、指で涙をぬぐい出す。ポトリとこぼれおちる。
チエミの大きな目からも、大粒の涙がひと筋ふた筋。

二人の手は繋がれている。
ぶらぶら揺らしながらも、きゅっと握りしめ放さない。

2番が歌い終わり、転調。混声児童の声でふたたび「叱られて」の1番が流れる。
セット内で子供達が遊んでいる光景と、チエミ・お千代二人がクロスオーバー。

チエミから話し出す。二人とも少し涙声だ。
「何だか・・・二人でポロポロ泣いて」
「そうですね・・・」
「みっともない番組になってしまいましたね」
「ごめんなさい。何かね、唄ってるうちに、何かいろんなこと思い出しちゃったの」
「やっぱり・・・この、子供たちの唄ってる美しい声を聴くと、・・・なんか昔を思い出しますね」
「そうですね」
「・・・私たちにもこんな時代があったんだなぁって思うとね」
「そう」
「うん」
「・・・あったんですよね」
「ありましたよ」
「ありましたね」
「この子供達の唄ってる美しい声」
「はい」
「こころ・・・やっぱり、歳を取っても持ち続けたい」
「そうですね、いつまでも失いたくないですね」
「大変難しいことかもしれないけどね・・・私たち、つくづく今日ご一緒に仕事してよかった」
「私(わたくし)も」
「お互い・・・幸せになりましょう」
「そうですね・・・」
「うん」
「本当にありがとうございました」
「本当に。また、これ一生の思い出になりますよ、今夜」
「また・・・ぜひご一緒させて下さい」
「こちらこそ。じゃぁ・・・いつまでも涙が止まらないから、この辺で」
「そう・・・皆さん」
「皆さん」
「おやすみなさい」
「おやすみなさい」
「ありがとうございました」

スタジオ、暗闇に。
二人にはスポットライト。
カメラは引いていく。
エンディングテーマが流れ、スタッフ紹介テロップ。
そして次回予告が流れ、番組は終わった。

-----------------------------------

良い番組だった。
番組ラストでは、こちらも貰い泣きしてしまった。
二人の胸中には、何がよぎっていたのだろう。
「幸せになりましょう」というチエミの言葉の重み。
スターの光と影。
二人とも大好きな私には涙なしには見ることが出来なかった。

決して有名な番組ではないだろうが、私には忘れ難い番組になっている。
これからもずっと。

音楽番組全盛時代、番組と番組の合間の5分にもミニ音楽番組が流れた時代。
安価なPV風な音楽番組も少なくなかったろうが、その一方で一社提供の、こういう、きちんと見せる聴かせるが出来る番組もしっかり作られていた。その証のような番組だ。

往年のミュージックフェアと、テイストは似ていると思う。
ただ、ミュージックフェアと比べると温かみ、親しみやすさの要素が強い。
それは関西局制作だからかどうかは、よくわからない。

それにしても、江利チエミ・島倉千代子、両名とも素晴らしい。
CDだけでは見えて来ないものが映像には刻まれている。
映像には演出がつきもの、想像力を失わせる、なんて言うがとんでもない。
映像にだって行間はあるし、演出をはみ出したものも必ず映っている。
映画よりもテレビがコワイのはそこだ。より生身が見えて来る。

チエミは指先ひとつに至るまで動きに無駄が無い。
口パクにもそうだが、本当に芸事が身について自然体になっている。それでいて、近寄りがたい厳しさはなく、どこか人懐っこい感じがある。しっかりしている一方で末っ子の甘えん坊という顔も確かに見える。
そして何よりも、嘘のつけない人のように思う。
明るく元気、朗らか。
勿論そうだが、一方でお千代の母親の件で見せた表情からは繊細さ、影も感じた。
私は江利チエミの没後の生まれだから、あのむごい亡くなり方をリアルタイムでは知らない。
でも、この番組を見終えると、少しその衝撃の凄さが陰影を以て、自分の中で組み立てられるようになった気がする。

お千代・・・もっともこれはチエミもそうだが、二人とも言葉の歯切れが良い。
明瞭で、ちょっと言葉が早い感じも含め、似ている面がある。結びつけて考えたことは今まで無かったが、二人とも東京生まれ。チエミは下谷、お千代は品川。どちらも庶民の町。
ある程度、気の通い合う面があったのだろう。
もし、お千代が酒にイケるクチだったら、酒豪だったチエミと、ノミニケーションを通じて、もっと親しくなっていたのかもしれない。

お千代の先輩の立てっぷりが素晴らしい。
フォーマルと、くだけた感じのバランスが絶妙なのだ。
チエミもまたしかり。
下と見ないで、一対一できちんと接し、それでいて優しい先輩の顔もヒョイと覗かせる。
二人ともきちんとした人だったのだとつくづく思う。
礼節なんて言葉が失われ、就活敬語なるもので覆いつくされた世代の私には頭が下がるし、貴重な動くテキストとしても、ぐいっと引き込まれた。

番組で歌われた「女ひとり」に、童謡・唱歌。
二人ともしっかりとお千代流、チエミ流に染め上げて聴かせている。
「番組から唄えといわれているので唄ってます」感などまったくない。
童謡唱歌も、クラシックの歌手や合唱団のような美術館的な角ばった歌じゃなく、丸みを帯びた、血肉の通った、庶民の歌として聴くことが出来る。
こんなに胸打つ「叱られて」、私はこれからも聴くことは無いだろう。

番組のテープは現存しており、以前フジテレビ系で放送された2時間番組でチエミが取り上げられた際に「叱られて」を歌うシーンが番組内で流れている。

こういう貴重なアーカイブ映像をCSやBSでふたたび放送する、という機会があったらどんなに嬉しいことだろう。どうか検討して頂きたい。

江利チエミ、島倉千代子。
昭和が誇る、不世出の大スターふたり。
少々意外とも思う、大物同士の組み合わせ。
でも、そこに通うものはあたたかかった。
二人はこれからも語り継がれ、聴かれ続けていくはずだ。

こういう映像を拝見することが出来たこと、心から感謝している。
そして、チエミ・お千代両名の冥福を、心から祈りたい。



-----------------------------------
「シャボン玉 ミュージックジョイ No.41」
(昭和48年4月27日放送)

提供:牛乳石鹸

出演:江利チエミ、島倉千代子
演奏:白井克治とニューソニック・ジャズオーケストラ、アンサンブル・シュバリエ
コーラス:コーラル・シュバリエ

曲目)
01:女ひとり(島倉千代子、江利チエミ)
作詩:永六輔 作曲:いずみたく

02:さのさ(江利チエミ)
作詩:三井良尚 作曲:不詳

03:すみだ川(島倉千代子)
作詩:佐藤惣之助 作曲:山田栄一

04:朧月夜(コーラル・シュバリエ)
作詩:高野辰之 作曲:岡野貞一

05:波浮の港(島倉千代子)
作詩:野口雨情 作曲:中山晋平

06:出船の港(江利チエミ)
作詩:時雨音羽 作曲:中山晋平

07:人生七ころび(島倉千代子)
作詩:りゅうはじめ 作曲:りゅうはじめ

08:城ヶ島の雨(江利チエミ)
作詩:北原白秋 作曲:梁田貞

09:叱られて(島倉千代子、江利チエミ、コーラル・シュバリエ)
作詩:清水かつら 作曲:弘田龍太郎

構成:岡田敬二
音楽:奥村貢
協力:第一プロダクション

照明::正富忠彦
音声:吉弘素次
効果:中村浩三
技術:石井柾男
美術:藤田哲朗
カメラ:藤沢一二

制作著作:関西テレビ
プロデューサー:高崎貞夫
演出:林宏樹

-----------------------------------
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by hakodate-no-sito | 2014-03-02 13:15 | テレビ | Comments(4)
Commented by てんてこ舞い at 2014-03-03 13:03 x
函館のシトさま、こんにちは。
お世話になります、てんてこ舞いです。

江利チエミ、島倉千代子
いいですねこのお二人。

僕が小学生の頃から
真空管ラジオで聴いていましたが、
このような番組があったのですか。
興味深く拝読させて頂きました。

それから僕のブログは引っ越しましたが
リンクの紹介、早々とありがとうございます。
これからも宜しくお願いいたします。

てんてこ舞い
Commented by hakodate-no-sito at 2014-03-03 19:15
てんてこ舞いさま
コメントありがとうございます。
大好きなんです、この二人。
真空管ラジオ・・・貴重なお話ですね。

ブログ、喪中だったもんで新年の挨拶もせず失礼しました。
新ブログもちょくちょく覗いております。移転完了したら挨拶をと思ったんですが、こっちが先になっちゃいました。
この前、ミルスブラザーズとフォーフレッシュメンのCD買いました。
良いですね、二組とも。後者、結構クセになってます。
Commented by まさ at 2014-05-09 16:13 x
島倉千代子さん、昨年の5月に長岡で聴きました。
元気がなく、声もかすれて別人のようで、共演されていた小林旭さんも
驚く位老け込んでいて、しかしその年の秋に亡くなられ
この時も闘病中だったのですね。
最後はステージで泣いておられました。

昨年、真空管アンプ愛好者の集いの会で島倉千代子の
全盛期のコロムビアのステレオ音源でお千代さんの
追悼を行いました。

ミュージックジョイ VTRが現存しているのですね。
個人的にはテレビ東京に於いて、鶴田浩二と石原裕次郎が
生前唯一共演した特別番組をこの目で見たいと熱望しております。
Commented by hakodate-no-sito at 2014-05-10 12:43
まささん
お千代さん、大好きなんですが、この10年は見るのが辛くて・・・。

「ミュージックジョイ」、何年か前に江利チエミを取り上げた番組でチラっと映像が流れていました。局なのか関係者の提供かはわかりませんがVTRは残っているようです。

>個人的にはテレビ東京に於いて、鶴田浩二と石原裕次郎が
生前唯一共演した特別番組をこの目で見たいと熱望しております。

鶴田浩二と石原裕次郎!
そういう顔合わせがあったんですね。天下の石原プロも持っていないんでしょうかね。仰る通り、拝見したいですね、これは。