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フランク永井をもういちど

LP盤起こしだし、CD-Rだし・・・と敬遠していたMEG-CDを買ってみた。
品物はフランク永井。1985年2月14日、神奈川県民会館で催された30周年記念ライヴを収めた1枚。演奏は猪俣猛とサウンド・リミテッド(+ムジカ・ストリングス)。編曲は宮川泰。

フランク永井のライヴ盤は何枚か持っているのだけど、どれも1級品。
このアルバムはどうかというと、曲間やMCの編集にやや難がある。1985年の段階で、こんな切り方をするとはちょっと驚いた。今ならもっとスムーズにできるのだろうに。

フランク永井の歌声は、低音の魅力が全面に押し出され、他のライヴ盤からは伺えない渋み、哀愁、円熟味を帯びている。

80年代以降のフランクの特色であるジャズ・ポピュラーへの回帰。
このライブ盤でもメドレーを含め7曲が唄われている。
もともと60年代のライブ盤でも、ジャズ・ポピュラーソングは唄われていて、ステージでは欠かせないものだったろうと思うが、このアルバムが1枚ものとはいえキャリアの区切りとなる30周年記念ライヴ盤でありながら、選曲のうちジャズポピュラーが半分近い割合を〆ている。

その一方で、「大阪ぐらし」「こいさんのラブコール」といった大阪ものが1曲も選曲されていない。
唄われたがレコードに収められなかっただけなのだろうか。思い切った試みだと思う。

いずれにしても、フランク永井(側なのかビクター側なのか、その辺は微妙なところだろうが。)が30周年のいま・ここで聴かせたい歌、需要があった歌が、ジャズ・ポピュラーであったことは間違いないだろう。

お馴染の「東京午前三時」や「有楽町で逢いましょう」などの都会派ムード歌謡も、往時よりも低くなった熟成された歌声で奏でられると、ヒット当時にはなかった奥行き、哀愁、渋みが加わる。サウンド・リミテッドの演奏のスタイリッシュさも相まって、新たな曲の輝きを感じる。歌謡曲がポピュラーソングと化しているのだ。大トリで唄われる「あなたのすべてを」は、まさしく絶唱とよぶにふさわしく、涙ぐんでしまった。

昭和60年当時の、フランク永井が音楽シーンにおいてどのような扱いを受けていたのか、当時を生きていない私にはよくわからない。ただ、コンサートで芸術祭賞も受けるほどクオリティの高いステージで知られていて、過去2枚組のライブ盤も複数発表されているのに、30周年という記念のライブ盤でありながら、やや雑な編集で1枚ものに収められてしまっているあたり、微妙な立ち位置を感じる。

だが、このアルバムに限らず歌手生活晩期に遺された作品を聴くかぎり、良質な作品を送り続けていたことは間違いないし、全盛期のようなたっぷりした唄い方は出来なくなっていたものの、キーの調整や歌唱の工夫で別の魅力を生み出せている。歌手としての魅力は決して色褪せていなかった。
あのようなかたちでキャリアにピリウドを打ってしまったことが惜しまれてならない。

フランク永井のキャリアの総括ともいえる、この30周年記念ライブ。
レコードに収められた編集版ではない、完全版の音源はビクターの倉庫に残っていないのだろうか。
今年2015年はフランク永井がビクターからレコードデビューして60年という区切りの年である。
音源復刻が進んで欲しい。そして、その工程で奇蹟的に音源発掘されないものかと願っている。
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by hakodate-no-sito | 2015-03-07 10:51 | CD視聴感想 | Comments(0)

群青の星

玉置浩二がカバーアルバムを出したという。
アルバム名は「群像の星」。
玉置の天才的歌唱で、名曲が聴けるならば、木戸銭を払うに値する。
早速入手してみた。

まず選曲に驚いた。
「圭子の夢は夜ひらく」「男はつらいよ」に「I LOVE YOU」に「初恋」に「愛の讃歌」と来ている。
ジャンルがバラバラだ。
驚いたが、これでそこらのカバーアルバムとは一線を架していることがわかり、再生が楽しみになってきた。

聴いた。
どの歌も驚くほどに詩が生きている。ジャンルがどうではなく、普遍的な魅力を放つ歌詩かどうかということに選曲の重点が置かれていたのだろうか。
玉置浩二というボーカリスト(ここでは、この言葉を使いたい)の才能が遺憾なく発揮されている。詩を立て、曲を立て、懐メロだ演歌だ歌謡曲だフォークだポップスだという垣根を取り払い、現代の歌として再構築している。

かつて久世光彦(久世と玉置は作詞家、作曲家という立場で「無言坂」などの名曲を生み出してもいる)がエッセイに記していたが、玉置浩二という人は古今の歌に精通していて、何でも唄えるのだという。久世が自身の好みを発揮させて、90年代にドラマで往年の名曲を玉置に唄わせたこともあった。そのあたりの下地も、このアルバムが成功している一因であることは疑いようがない。

久世光彦が健在だったら、このアルバムを誰よりも喜んで聴いたに違いない。
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by hakodate-no-sito | 2014-12-30 10:48 | CD視聴感想 | Comments(0)

VOICE

発売されていたこと自体すっかり見落としていた由紀さおりの新アルバム「VOICE」。
気に入っております。

正直に申し上げて、聴く前はあまり期待しておりませんでした。
というのも、ピンク・マルティーニとのコラボアルバム「1969」も、前作アルバム「スマイル」も、今ひとつピンと来なかったのです。ちょっと違うんだよなぁ、という思いがぬぐいきれず。

CDについている帯をながめていると、45周年の文字が目に入って来ました。
5年前、東京・国際フォーラムで開催された40周年コンサートのことを思い出しました。
由紀さおりが「もう一度歌謡曲を歌いたい、21世紀の歌謡曲を」と、アルバム「いきる」を引っ提げて、行ったコンサートです。

「いきる」は今でも大好きなアルバムです。
往年と比べ、やや低くなった声質を生かした、現在の由紀さおりならではの歌がつまっていたと思います。

海外からの波に乗ってヒットし、紅白復帰も果せた、アルバム「1969」は、確かに気に入っている歌もありますが、あくまで往年の歌謡曲イメージに乗って作られた感があり、リスペクトという点ではバッチリでしたが、情念に寄った(現在の)低音の歌声を生かし切ったか、というと疑問です。

今回の「VOICE」は、現在の由紀さおりの歌声が全面に押し出されています。
歌の巧さがストレートに伝わって来ます。
ノリありきではない、良い歌をじっくり聴かせてくれます。
「四つのお願い」や「恋のバカンス」という軽めの歌もチョイスされているのですが、それがまた聴かせるのです。サラッと唄いつつ、達者ぶりが滲んでいます。年輪ですね。大人の歌です。

「真夜中のギター」は「1969」収録候補曲、「みんな夢の中」は40周年コンサートでも披露された曲。満を持して、待望の、という気もします。

秋から冬への移り変わりを感じる、いまの季節。いっそう沁み入る歌声です。
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by hakodate-no-sito | 2014-10-30 23:43 | CD視聴感想 | Comments(0)

EVERGREEN☆HIBARI

CDが売れなくなったと言われて随分経つ。
かと言ってネット配信の時代と言い切るまでには、至っていない。
一方でレコードも復権を果たしつつあるが、これは言わば嗜好品的な立ち位置。ファンや好事家のもので、以前のような大衆的なものではない。
こういう情景を見ていると、レコードからCDの切り替えがよくここまでスムーズに行ったものだと思う。
先日、中古ショップを覗いていたら、探していたCDアルバムを見つけ、二も無く確保した。
「EVERGREEN☆HIBARI」
1983年、日本コロムビアから発売された、美空ひばり初となるCDアルバムだ。
(最も私が入手したのは2001年に紙ジャケットで復刻されたものになるが、内容は同じだ)
CDと略さずコンパクト・ディスクと正式名称で呼んでいた、出来たてホヤホヤの新メディア。
まだ未知の領域にあったCDを、歌謡界の女王・美空ひばりがいち早く導入していたという事実はもっと語られていいはずだ。
さて、このアルバムは、CDというメディアに合わせて、膨大なレパートリーの中からお馴染みのヒットナンバーを12曲、当時最新鋭のデジタル方式でレコーディングしたものだ。
選曲は王道中の王道と言ってもいい曲に近年のヒット曲が2曲。まさしく「演歌の女王・美空ひばり」らしい磐石の構成で臨んでいる。

美空ひばりはヒット曲の再録音の機会が多く、聴き比べには困らない。
本アルバムでの歌声はというと、円熟味ということに尽きる。
声質という点ではピークを過ぎて、下り坂に入っていたことは否めない。
具体例を上げると、高音部で声が時折掠れたり、お得意の地声から裏声への切り替えが今ひとつだったり、という点。

その声質の衰えをカバーしているのが圧倒的な歌唱技術。加えてリズム感。これらによって緩急自在に喉をコントロールし、歌に表情・情景を付けてゆく。
デジタル録音の技術のおかげで悪い点も良い点も含め、これらの声がしっかりと録音されて聴こえて来る。
前述の衰えが目立つ「花笠道中」でも、この圧倒的な腕でもって、表情たっぷりに歌い切り、作品として及第点に持っていっている。

デビューの頃、子ども時代の美空ひばりはゲデモノと随所から叩かれていたことはご存知の人も少なくないはずだ。
今、その時期の録音を聴くと、ひっくり返る。
声変わりもしていないような小さい子どもが、グルーヴ感満載の歌声で、異様なエネルギーを放出しバシバシ歌をこなしていっている。
テンポの早い歌がありふれた昨今でも、この歌声の持つリズム、うねりは尋常じゃないと感じる。まして60余年前だったらと考えると恐ろしい。ゲデモノと呼びたくなる気持ち、わからないでもない。

異端の存在から歌謡界の女王という中心・頂上にまで上り詰めた美空ひばり。
「EVERGREEN~」に収められた歌声には、デビュー当時の竜巻のような爆発力はない。
その代わりに貫禄がある、長年歌って身につけた説得力がある。歌における演技性がある。

これらに前述の歌唱技術、リズム感を以て聴かせるのが「リンゴ追分」であり、「ひばりの佐渡情話」であり、「悲しい酒」だ。
女王の称号は伊達ではない。圧倒される。

以前のような「押し」だけじゃない「引き」も心得ているようになったところに、歌い手としての懐の広がりを感じる。
(この懐の深さは最晩年を以てピークを迎える)

ファン向けのアルバムかもしれないが、不世出の大歌手の円熟期を余すことなく収めたアルバムとして、私にはたまらなく愛おしい。
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by hakodate-no-sito | 2014-07-07 10:33 | CD視聴感想 | Comments(0)

宝塚百年

今年2014年は、宝塚歌劇団が初公演を行ってから百年という節目。
先日も本拠地宝塚で記念式典で行われ、多数のOGが顔を見せ華やかなステージになったというニュースを目にしました。

この宝塚百年に関連して、2種類のCDが発売されました。
2種類、ともに2枚組です。

宝塚卒業生<伝説の歌声>」(VICL-64148~9)


宝塚卒業生<魅惑の歌声>」(TYCN-60071~2)

「伝説~」は葦原邦子から小夜福子、月丘夢路に乙羽信子、久慈あさみ、轟夕起子といった、後年女優として名を馳せた面々の貴重な歌声。
今では聴くことが難しくなっているポピュラー・ポップスの優れた歌い手の名唱。
さらに、タカラジェンヌとして吹き込んだ全盛期のパフォーマンスも収録。

バイヨンの女王・生田恵子の「東京ティティナ」。
スウィングの女王・池真理子、幻のデビュー曲「君と別れて」。
ラテンの女王・宝とも子。
日本のポップス界の王族・服部ファミリーの歌姫・服部富子。
戦災で亡くなった幻のタカラジェンヌ・糸井しだれ。
昭和14年小夜福子を団長に、日本の文化使節として派遣され行われたアメリカ公演と同内容で吹き込まれたスタジオ録音6テイク。

・・・など、サウンドとしての楽しみも資料的側面も満載に仕上がっています。
まさにタイトル通り「伝説の歌声」が満載です。

唄っている面々を見て行くと「この人も宝塚だったのか」という発見も、ひとによってはあるかもしれませんね。

一方、「魅惑~」は宝塚出身の歌手・女優では最高峰に位置する越路吹雪に、半世紀以上に渡り日本シャンソン界を牽引し続けた第一人者である深緑夏代の歌声に、昭和40年に行われたパリ公演の実況録音音源・・・と貴重なアーカイブから、亡き巨星から今も現役で活躍を続けるOGの歌声も多く収められています。
越路、深緑に上月晃、大浦みづき、寿美花代、朝丘雪路、真帆志ぶき、那智わたる、一路真輝、麻実れい・・・と、こちらは宝塚OGとしてよく知られる面々が並んでいます。

宝塚を敬遠される方にも、宝塚に興味のある方にも、日本のポピュラー・ポップス史に興味のある方にも。
様々な角度から、色々と楽しめる内容になっていると思います。
アルバム制作、少々お手伝いしたのですが、今更ながら私の好きな女優や歌手で、宝塚OGの多さを再認識、底しれぬ宝塚のエネルギーを感じました。

よろしかったら、お手にとって、ご一聴くださいませ。
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by hakodate-no-sito | 2014-05-06 13:22 | CD視聴感想 | Comments(0)

Excellent and Decadent

先月、こちらに書いたのですが、アーサー・キット(Eartha Kitt)のライブアルバムを聴きまして、入門用に適当なベスト盤が無いかなぁと探していました。

このCDを見るとあの歌が無い、あのCDを見るとこの歌が無い。
そんなこんなでコレというものが見つけられず、これは「数種類のアルバムを入手せよ」ということと納得。では「まず何が聴きたいか」という優先順位を考え、懐具合とも相談し、選んだのが「Excellent and Decadent」というCDでした。

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これは1950年代のヒットソングをベースに、ディスコサウンドに乗ってヒットチャートへ返り咲いた1980年代の作品が収められた全24曲収録のベスト盤。どちらの年代の曲も聴いてみたかったので、丁度良いかなぁと選びました。正規メーカーからの発売で、ジャケットもスタイリッシュ。デジタルリマスターされ音質もバッチリ、クレジットや解説(もっとも英語なので読めませんが・・・)も載っています。

アルバムを聴いて思ったのは、どちらの時代のアーサー・キットも大変魅力的ということ。

颯爽とした若さとオリエンタルな雰囲気で軽やかに唄う50年代のアーサー。
当時の日本で艶めかし過ぎるとかで放送禁止になったという伝説が残る「C'est Si Bon(セ・シ・ボン)」。
確かに艶っぽさはありますが、生々しくドロドロした淫靡なものではなく、スタイリッシュ。聴いていて大変心地良いです。
放送禁止にするようなレベルのようなものにはどうにも思えず。あくまで「伝説」は「伝説」に過ぎなかったのでしょうか、それとも時代の流れなんでしょうか。
今日の視点に映る普遍的な恰好良さ、その時代には少なからず理解出来ないものがあったのかもしれません。 ただ、Youtube等で当時のアーサーの動画を見ますと、出る杭は・・・だったのかな、とも。ただでなくとも自己主張の強い、常識を覆すようなタイプに加え、黒人やチェロキーインディアンの血を引いた被差別側の人というのも大きかったのかもしれませんね。

一方、80年代のアーサー。
ベトナム戦時下、ホワイトハウスで戦争批判を行ったことで世論を騒がせ、FBIやCIAにも睨まれ、一時アメリカに居られなくなりヨーロッパへ活動を移すことになったり、その後ブロードウェイミュージカルに主演しロングランヒットさせ堂々のカムバックを果たすなどの波瀾を乗り越えてきたこともあり、より凄みを増し貫禄が加わります。この世を思いのままに操れそうな魔女、或いは新興宗教の教祖的な趣すら感じます。
50年代から80年代へと飛ぶと、そのサウンドはしていますが、まったく自然にディスコチューンを乗りこなし、「Where Is My Man」でヒットチャートへも帰り咲き。第二(?)の全盛期を迎えました。これも当初からワールドワイドな世界観で唄ってきたことが大きいのでしょうね。それにしたって、誰にも出来ることではありません。素晴らしいです。

一貫した、「私は私」という恰好良さを持ったアーサー・キット。
CDのラストを飾るのは、1990年のロンドン公演の音源で「I Will Survive」。

御存知、グロリア・ゲイナー(Gloria Gaynor)やダイアナ・ロス(Diana Ross)が唄ったディスコナンバー。
日本では布施明、麻生よう子が「恋のサバイバル(II)」の題名でカバーしています。
グロリア、ダイアナとも違う、アーサーならではの魅力がよく出た名唱です。

この公演の様子を収めたアルバム「Live IN London」は廃盤で、中古市場もそこそこの値段になっている模様。「I Will Survive」を聴く限り、素晴らしいステージではなかったのかと思います。通しで聴いてみたいものです。

アーサー・キット、すっかり魅せられています。
まだまだ、いろいろ聴いてみたいです。

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Excellent and Decadent (2002年発売)
1. Where Is My Man
2. Je Cherche Un Homme
3. Let's Do It
4. Under The Bridges Of Paris
5. Fascinating Man
6. C'est Si Bon
7. Mink, Schmink
8. I Want To Be Evil
9. Just An Old Fashioned Girl
10. My Heart Belongs To Daddy
11. I'm A Funny Dame
12. If I Love Ya, Then I Need Ya, Then I Want Ya Around
13. Jonny, Wenn Du Gebrutstag Hast ...
14. Hey Jacque
15. Apres Moi
16. Proceed With Caution
17. Angelitos Negros
18. Uska Dara - A Turkish Tale
19. If I Can't Take It With Me (When I Go)
20. My Heart's Delight
21. Toujours Gai
22. Cha Cha Heels
23. I Love Men
24. I Will Survive (Live)
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by hakodate-no-sito | 2014-04-05 13:47 | CD視聴感想 | Comments(0)

Seasons

最近、洋楽をよく聴いています。
いろいろ思うことがあったのですが、輸入盤は邦楽より安く入手出来ることを知れたことも大きな理由です。
もっとも国は違っても嗜好は同じ年代のもの。そうすると、私の好きな年代の日本の歌手に影響を与えた人が多いことになり、「あ、ここは」という発見なども繋がるかなと思っています。名前だけは知っているけど・・・という人で興味のある歌手もこの際少しづつ埋めていけるかなとも。

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今日はビング・クロスビーの遺作となったアルバム「Seasons」を聴いています。
これは亡くなる約1ヶ月前にロンドンでレコーディング(1曲のみ76年にロスで録音)したもの。
さらにCDにはボーナストラックとして、アルバムとは別の用途で、レコーディングされていた歌や朗読13トラックが追加されています。こちらはなんと亡くなる3日前の録音。

歌声は、程良く枯れた晩年のクロスビー。
ポピュラー音楽の最高峰の人だけあって、さすがの歌声です。
亡くなる少し前だからという陰りは特に感じません。
むしろその死が本当に急なものだったと裏付けるもののように思います。

ジルベール・ベコー作品の表題曲「Seasons」やアズナヴールの「帰り来ぬ青春」、「Summer Wind」「Autumn In New York」・・・とアルバム本篇も良いのですが、ボーナストラックもどれもまた素敵です。「Once In A While」「As Time Goes By」というスタンダードナンバーは勿論、朗読(リーディング?)もまた耳に心地良く響きます。
何を話しているのかは語学力が無いので全然判りませんが、俳優としても一流の人だったということは実感できました。

他にも、ローズマリー・クルーニーとのデュエットアルバムやラジオ音源を集めたアルバムも手に入れることが出来たので、順次聴取予定です。
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by hakodate-no-sito | 2014-03-26 21:15 | CD視聴感想 | Comments(0)

シナトラとコモ

中古ショップを覗きに行ったら、CDコーナーでCD CLUBのCDが20枚ほど並んでいた。
どれどれと覗いたら、ミルス・ブラザースだのペリー・コモだのロス・インディオス・タバハラス…
と食指が動く顔ぶれがいるではないか!値段は250円と来ている。確保。
ついでに他の250円棚も覗く。「ここには無いんだよね。シナトラとかディーン・マーチン、サミー・デービス・ジュニアなんてあれば
絶対買っていくんだけど」と思いながら、F欄を見るといた!世界一歌のうまいヤクザことシナトラ閣下のラストレコーディング「DUETS」。

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ご丁寧にI・IIと2枚揃っている。嬉しさのあまり、頭の中でシナトラの「ニューヨーク・ニューク」が鳴り響く。
かがんでCDを棚から取り出そうとすると、まだいた。フォー・フレッシュマンのアルバムが。
名前は知っているが、全然聴いたことがない。この際、我家へ来て頂こう。皆まとめて面倒みよう、財布は痛いが面倒みた。
新しく発売した雪村いづみのアルバムがうちに来るのは、これで無期延期。
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ゴメンなさいトンコさん、余裕が出来たときには。

トンコといえば去年発売された前田憲男とのフルバンドでのアルバムも聞きそびれたまま。
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かくして知っていながらの未聴が増える。どれも良い(はず)とわかっているだけに悔しく申し訳ない。
不義理モンの烙印がたまる。ポイントカード制にしたら、相当たまっていそう。嗚呼・・・。

----------------------------------
この手のぼやきは始めるとキリが無いし、何より自業自得なので、話を戻す。

それにしても今回入手した面々は、当たり前だがどれも凄い。
さらっと流し聴きのあと、またぼつぼつ聴いている。

フランク・シナトラ(Frank Sinatra)、この前読んだサミーデービスジュニア(Sammy Davis Jr.)の自伝「ミスター・ワンダフル」で描かれた姿が半端じゃなくヤクザで漢気抜群で格好良くて
、この人はやはりアメリカの象徴だと思っていたところだったので、今回の確保はグッド・タイミング。
さすがに晩年となった90年代ともなると、さすがのフランク・シナトラの歌声にも衰えがあることは否めないものの、それでも華やかさや艶っ気は
はまだまだ健在。そして当世一流・大人気のデュエット・ゲストの歌い手たちの顔ぶれ。
メモリアル、トリビュート、そしてフェアウェルとして捉えると、これほど楽しく豪華で見事なアルバムはそうそうない出来。
何でもこのシナトラのアルバムがきっかけとなって、アメリカの方では大歌手の証としてデュエットアルバムを発表することがスタンダードになったとか。
近年のヒットアルバム、トニー・ベネット(Tony Bennett)の「DUETS」シリーズも、シナトラが無しでは有り得なかったと思うと、拝みたくなる。
ベネット、シナトラが歌う「ニューヨーク・ニューヨーク」の楽しいこと!

シナトラの健康状態が赦せば、あともう1枚発売される予定だったらしい「DUETS」。
叶わなかったのは残念ながら、2枚も出たこと自体が奇跡のようなもの。
それに、相手役にふさわしい歌い手はあらかた出たようにも思うし、誰を迎える予定だったのか、ということは気になる。

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続いて、ペリー・コモ(Perry Como)。
ペリー・コモの名前をインプットしたのは、コモが亡くなった年にペギー葉山が「今年は、あちらの歌い手でも、私たちの青春を飾ったペリー・コモが亡くなって…」よ
話していたことからだったと思う。ペギー葉山が言うなら確かに凄い歌手なんだろうなぁと思ったことを覚えている。ろくにペギー葉山を知らない
田舎の中学生がなぜそう思ったのか、おそらくペギー葉山の放つオーラからなのだろう。
何せあの黒柳徹子が「ペギーさんは凄いわね。普通みんな歳とるとどうでもよくなってくるんだけど、今でもちゃんとお洒落なんだもん」と一目置く人である。
徹子、良重(水谷八重子)、ペギー。このの顔ぶれのつながりをたどると、大体私の興味・好意対象にひっかかる。それだけでも敬意を表したい御三方。

ペギーの話はこの辺にしてペリーに戻す。
ペリー・コモのヒットソングは多い。何しろアメリカを代表する大歌手。
ビング・クロスビー→ペリー・コモ→カーペンターズというポピュラーな流れが存在するっていえば、偉大さが通じるのだろうか。
最近、「パパはマンボがお好き」が車のCMで流れている。大好きな曲だ。買ったCDにも勿論収録されている。江利チエミ盤も好きだ。
全盛期の50年代の歌がいいのは当然だが、それ以降の円熟味を増した名唱もたまらない。
あれだけ音楽シーンが変わって行った60-70年代にもしっかりヒット曲を生んでいるのは凄い。
CDに収められている「黒いオルフェ」や「追憶」の素晴らしさ。
シャンソンで越路吹雪は見せる(魅せる)歌手、岸洋子は聴かせる歌手、太陽と月と称されている。
これ、フランク・シナトラとペリー・コモの関係にも当てはまらないだろうか。
最も越路も岸もシナトラもコモも、魅せることも聴かせること、双方半端じゃなく秀れている存在であることは言うまでもない。
みんな大好きだ。
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by hakodate-no-sito | 2014-02-17 19:41 | CD視聴感想 | Comments(0)

坂田晃一 テレビドラマ・テーマトラックス

前々から気になっていたアルバム「坂田晃一 テレビドラマ・テーマトラックス」、やっと聴くことが出来ました。

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ジブリ映画「コクリコ坂から」(2011年公開)の主題歌に、「さよならの夏」が起用されたことがきっかけで製作された1枚だそうです。

http://www2.toho-movie.jp/movie-topic/1103/07kokuriko_ib.html
(「コクリコ坂から」の記者会見。坂田晃一も参加しています)

坂田晃一は、山本直純門下の作曲家で、昭和40年代から現在まで数多くのテレビドラマの音楽を手掛けて来た方。今も現役で、川越にある尚美総合芸術センター副センター長・尚美学園大学院客員教授として後進の指導にも当たっているとのこと。

主な作品に、市原悦子主演の「家政婦は見た!」、森繁久彌・竹脇無我主演「おやじのヒゲ」、土曜ワイド劇場「船長シリーズ」(高橋英樹→船越英一郎)、西田敏行主演「池中玄太80キロ」、朝の連続テレビ小説「おしん」、NHK大河ドラマ「おんな太閤記」、世界名作劇場「母をたずねて三千里」「ふしぎな島のフローネ」などがあります。

(挙げていない作品でも著名なものは多いので、詳しく知りたい方はネット検索して下さい)

素晴らしい作曲家であることは言うまでもないのですが、まとまった作品集は、少なくともCDでは初。
スタジオジブリ様様であります。

このアルバムはタイトルにもありますが、坂田晃一が手掛けたテレビドラマの主題歌・挿入歌・イメージソングをまとめたもの。

レコード会社の枠を超え、「もしもピアノが弾けたなら」「鳥の詩」「さよならをするために」「冬物語」というヒット曲から、初CD化作品も多数盛り込まれた、全22曲。

1970年代のテレビドラマは映像が残っていないものや、また残っていても再放送の機会がないままになっている作品も少なくないようで、CDに収められた作品も例外ではないようです。
叶うならば、ドラマと併せて楽しめれば良いのでしょうけどね。

もっとも歌だけでも充分過ぎるぐらいに楽しめる、魅力的な作品がそろっています。
コクリコ坂で再び陽の目を浴びた「さよならの夏」も勿論収録。
捨て曲無し。飛ばし聴きしようとは思わずに、ずっと聴き入ってしまっています。

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光る海に かすむ船は
さよならの汽笛のこします
ゆるい坂を おりてゆけば
夏いろの風に 逢えるかしら

私の愛 それはメロディ
たかく ひくく うたうの
私の愛 それはかもめ
たかく ひくく 飛ぶの

夕陽のなか 呼んでみたら
やさしい あなたに逢えるかしら
(作詞:万里村ゆき子)
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本家森山良子によるこの歌、発表から40年近い歳月を経ても、色あせぬ光を放っています。
(ちなみに、2011年発売のアルバム「すべてが歌になっていった」でセルフりメイクしております。ベテラン歌手によるあるステージ向け歌唱では無い上に、いま現在の歌としてちゃんと良い出来に仕上がっているのです。森山良子、恐るべし)

前にyoutubeで聴いて、音源確保を望んでいた、鹿内孝の「情熱」の収録は嬉しかったです。
テレビドラマ「冬の陽」の主題歌だそうですが、未見。
鹿内孝というと、テレビドラマに悪役で出て来る印象が強いのですが、もとは歌手(ブルーコメッツを専属バンドにしていた方)。

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小指のつめを噛んで おまえはふるえていた
まるで嵐の夜の 小鳥のように
ぼくの波うつ肩に 細い手首をかさね
そしてすこし眠ろう 朝がもう近い

くちにはださない 男の気持ちを
燃えてる躰で ぶつけてみたのさ
生きてゆくかぎり この情熱
おまえの長い髪に 誓うよ
(作詞:万里村ゆき子)
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「本牧メルヘン」共々、大好きな歌です、「情熱」。

ボーナストラックとして、テレビドラマとは関係ない歌が3曲収められています。
製作担当者が2曲、坂田先生自ら1曲、それぞれ選んだそうで、坂田先生は「みち潮」(由紀さおり)。この歌は昭和49年発表のシングル曲で、東京音楽祭出場用に作られた模様。由紀さおりの歌声は美しいメロディをさらに盛り上げて、聴かせます。

しっとりした、抒情的な、美しい坂田メロディ。
往年のテレビドラマ好きには勿論、そうじゃない人でも楽しめる内容です。
アップテンポな歌が好きな方には向かないかもしれませんが、沁み入る歌が聴きたいという人には一聴をお薦めしたいです。

ところで、口笛が用いられている作品が何曲かあるのですが、山下毅雄のように坂田先生自ら担当したのでしょうかね。ちょっと気になりました。
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by hakodate-no-sito | 2014-02-14 21:50 | CD視聴感想 | Comments(0)

「或る窓」 松尾和子VS平岡精二

松尾和子のCDを買った。
前々から彼女の歌は好きで、時々無性に聴きたくなる。

たまたまネットオークションを覗いていたら、前々から興味があった「或る窓」というCDが出品されていた。それもえっ!?という安値だ。出品終了時刻は間近に迫っている。
再販されて、10年近い歳月が経過し、もう入手が難しくなってきている。

―ああ、これを逃したら多分買えないな。
思い切って入札したところ、競争相手もなく無事落札出来た。

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ジャズ畑の鉄琴奏者で、「つめ」「学生時代」「謎の女B」など、作詞・作曲・編曲者としても才気を振るった鬼才・平岡精二が全作品を手がけた1976年発売のアルバムとくれば、楽しみにならないはずがない。

松尾和子と平岡精二の組み合わせの歌は既に何曲か聴いていて、どれも良い歌が揃っている。
特に「帰って来て」という歌がお気に入り。
シングル化された歌なのかは知らないが、ジャズっぽさとミュゼットぽさが融合されている名曲だ。「或る窓」には、私が持っているベスト盤LPに収められたVer.とは別テイクが収められているらしい。これも楽しみだ。

ということを、CD到着の数日前、別のSNSでつぶやいた。
しばし松尾漬けになりたくなって、PCの中の音楽ファイルや手持ちのCDを探して聴いて、到着に備えてモード作りをし、満を持して昨日、話題にしたCD「或る窓」が手許に届いた。

名盤、といえるかどうかはちょっとわからないが、なかなか面白い歌が揃っていて、一聴に値するだけのアルバムだった。
モーグというらしい初期のシンセサイザーが随所でフューチャーされていて、その音色も含めて、ツボにハマった。

第1曲目、ソフトロック調コーラスが印象的な「時計と女」にホーっと思う。
単独で聴くぶんには良いが、続けて聴くのはちょっと退屈を覚える曲(これは好みやモチベーションの問題でもあるだろう)が途中(レコードでいうA面部分)続くが、中盤以降は盛り返し、ジャズ歌謡からジャズと化す「爪」で〆。

期待していた「帰って来て」は、前述のベスト盤「松尾和子ベストコレクション'76」に収録されているテイク(小杉仁三・編曲)と比べると、モーグが前面に出ている分ポップス寄り、奏でられている音はJAZZYなのだが、に感じる。ただ、風邪気味だったか、松尾和子の歌声が鼻声に聞こえる。
そこだけが、ちょっと残念だった。

平岡精二の作詞センスは独特。
「学生時代」のような青春讃歌から、いわゆる日本の流行歌~歌謡曲の王道と一線を架している怪作も書ける人だ。幅は広い。

ふたりきりの姉妹の姉が、妹の不倫を諭す「ゆう子」。
どういうシチュエーションでこういう歌を思いついたのかが気になる。

原始の世界の男と女の恋愛を唄った「昔々の唄」は、アニメか漫画に刺激を受けたような気がする。
「はじめ人間ギャートルズ」か「原始家族フリントストーン」か。
「熟女B」とはまた違う、ナンセンスな世界が楽しい。松尾和子のキャリアでも、こういうコミカルな歌は珍しいのではないだろうか。ムード歌謡の女王が、心底楽しそうに歌っている。懐の深さに、こちらも嬉しくなる。

口笛から始まる爽やかな青春応援ソング「幸福の足音」。 歌手を変えたら石坂洋次郎原作・吉永小百合主演(主題歌も担当)の青春日活映画主題歌にもなりそうだ。松尾和子は過去を懐かしみ噛み締めながら唄っている感じ。爽やかというよりほろにが風味。前述の吉永や、ダークダックス、ペギー葉山でも聴いてみたい。

"作者自身の経験によるものでお酒の恐ろしさを唄った皆様のメッセージ"というナレーションからはじまる、精神病棟に入った女を唄った「或る窓」。
どんな歌だろうと身構えるが、ナレーションの割に案外軽めに仕上げられているので、歌詞に着目しなければ聴きやすいといえば聴きやすい。エディット・ピアフの「白衣」のような演劇的シャンソンを期待すると若干拍子抜けのきらいはあるが、それでも日本では珍しい類のメッセージソングには違いない。

コワさでは、むしろ「或る窓」の次に収められた「ふとい腕」の方が上回るかもしれない。
情事の夜の場景を唄った曲だが、「或る窓」の後に続けて聴くと別の意味が浮かんでくる。
・・・いや、単独で聴いても、充分インパクトある歌だ。

小粋なシャンソン風ラブソング「イニシアル」、、サバの女王風の歌謡曲「愛の怖れ」、メランコリーな「何も考えないで」・・・。どれも松尾がシングル曲として出しても不思議ではない出来に思える。

アルバムに収録された全12曲のうち、一番気に入っているのはラストに収められたジャズアレンジの「爪」と、レコードでいうB面1曲目である7曲目の「あいつ/パロディー」だ。

どちらも平岡の代表作で、今日も歌われている。
前者は既に松尾和子は持ち歌にしていることもあり、唄いっぷりも充分。間奏のジャズ的なセッションも含めて、聴いていてひたすら心地よい。歌手としての出自がジャズであることに終生強い愛着、こだわりを抱き続けたという松尾和子にも嬉しいレコーディングだったろう。

原曲準拠で、サラリと悩ましく唄ったテイクも別に存在するので、普通の「つめ」を聴きたい人にはそちらをオススメする。もっとも「或る窓」テイクはこのアルバムにか収録されていないと思われる。

後者では、題名通り、何と作者自身でヒット曲のパロディを作ってのけた。
こんなことをやってのけたのは、他に永六輔の「続・おささなじみ」(唄:デューク・エイセス)ぐらいしか思い浮かばない。

しかし、あちらは六輔流左翼的世相批判パロディ的要素が強いし、一応は続編という形式だ。
こちらは「あいつ」の歌詞にあわせて、歌詞で唄われている"君"がツッコミを入れていく。
そのツッコミは実に女ならではの辛辣さもあり、痛快ときに冷汗もの。

(あいつ・・・?あいつって誰なの?)
(あたしに恋人がないってことは、別にあなたに関係ないわよ)
(可哀想に。あなたって昔と変わってないわ)
(それもあたしに関係ないわ。せいぜいお悩みなさい)
(ああ、もう面倒くさいわ)

松尾和子の姐御キャラが存分に生きている。
松尾の声は、コケティッシュともいえるけど、それよりも意外にも(!?)キュート。
記憶にある松尾の声より高めなのは、まだ40歳ちょっとで若いからなのだろう。
それにしても、可愛い。ギャップ萌えともいうのか・・・ちょっと驚きが隠せない。
巨乳で気が強くて可愛い面もあって歌がうまい・・・ン?これって今時アニメの理想的なヒロイン(お姉さまキャラ)じゃないのか。
・・・萌えキャラだったのか、松尾和子。

松尾和子が歌う「あいつ」本編も、抜群のムードで歌っていて大変結構。
だからこそ、突っ込みが映える。おかしい。

ツッコミなしで普通に唄っている「あいつ」も聴いてみたいが、レコードはわからないがCDでは見当たらない。
レコーディングはしていなかったのだろうか。残念。

松尾和子、平岡精二。両者どちらも一歩も引かない、本気のぶつかり合いのアルバムだった。
名盤といえるのかどうかは、私には判断が付かないが、1度と言わず何度も聴きたくなる、時々聴きたくなる、独特のポジションを持った1枚であることは間違いないと思う。

平岡精二、松尾和子、両者のさらなる評価・研究・復刻が進むことを、強く期待したい。
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by hakodate-no-sito | 2014-02-13 15:52 | CD視聴感想 | Comments(0)