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低音の魅力を映像でもどうぞ

昭和を代表する大歌手にふさわしいBOXセットが、2016年2月24日に発売された。
「懐かしのフランク永井 シングル全集」(10CD+DVD / VIZL-941 )

このBOX、フランク永井のシングル曲(A面)をまとめたもので、CDにしてなんと10枚分。
加えて、NHKのアーカイブ映像からフランクの歌唱シーンをピックアップしてまとめたDVDが1枚付いてくる。

フランク永井のCD-BOXはこれまで幾つも発売されているが、ヒットの多さが災いしてか、結局オリジナル曲は似たり寄ったりの選曲にならざるを得ない状態が続き、カバー音源(洋楽も含む)の方がバラエティ豊かな選曲(復刻)ができるという、本末転倒というのか、何とももどかしい状況になっていた。

勿論、カバーはカバーで聴き応えがある。
フランクのカバーへのスタンスは洋楽のポピュラー歌手のそれに近い。良い歌は共有しようと、気負わず、サラッと歌うところが実に良い。だからこそ光る。
何よりもフランク永井の代表曲「君恋し」は二村定一のカバー。欠くことはできない分野なのだ。

洋楽は言うまでもなくフランク永井の核であり欠くことが出来ないもの。

どちらもフランク永井という歌い手を知るには重要な音源だ。 余技どころか見方によっては本丸といえなくもない。

ただ、フランク永井という歌い手は紅白26回連続出場という最多記録(当時)を打ち立てた、歌謡界のまん真ん中に居た歌い手。
フランクが歌った、流行歌~歌謡曲を見ていく(聴いていく)ことこそ、フランク永井を知る、まず王道ではないだろうか。

日本の音楽シーンにおける功績を思うと、昭和30年から60年までの30年間、フランク永井という人がどのような歌を歌い、ヒットさせてきた、リリースしていたかを、つぶさに知ることができる手がかりとなる、今回のシングル全集はフランク永井という一歌手の歴史だけではない、また作曲家吉田正にとっても、作詩家佐伯孝夫にとっても、ビクターレコードにとっても、流行歌~歌謡曲の変遷を知る上でも、一大資料となったことは疑いの余地もない。

フランクと同時代に活躍した歌手で、今までこのような全集がリリースされたのは、私が知る限りでは美空ひばり、島倉千代子、三橋美智也、春日八郎の4名。ここにフランクが加えられたことは収まるところへやっと収まってきたのかと嬉しくも思う。
(あと、このレベルに近い全集は、江利チエミでも組まれている)

今回の全集は10枚分、それぞれ単独でも発売されている。
BOXセットは高額だから・・・と躊躇されている方でも、まずは気になる年代を1枚、という買い方・聴き方が出来るのが有難い。

BOXセットには歌唱映像を収めたDVDが1枚付属している。
過去、テレビ東京における歌唱映像が数曲程度収めれたビデオが発売されたことはあったが、フランク永井単独での歌唱映像ソフトはおそらく本邦初。

NHKに残る最古の歌唱映像と思しき、昭和38年放送の「第14回NHK紅白歌合戦」で歌った「逢いたくて」から、NHKに残る最後の歌唱映像である昭和60年放送の「第17回思い出のメロディー」での「有楽町で逢いましょう」まで全28トラック分の歌唱映像が収められている。

DVDの構成のベースは、2009年にNHK-BS2で放送された「歌伝説 フランク永井の世界」。
1部の映像テイクは、原版からではなく、「歌伝説」をそのまま2次使用(流用)しているので、一部テロップがモザイクがかかっている。
原版から使用すればクリアな映像で見られたろうに、その点は残念で仕方ない。

また、NHKに残っている映像、という関係もあり、いくつかのヒット曲は収められていない。
しようがないこととはいえ、「夜霧に消えたチャコ」「羽田発7時50分」「西銀座駅前」などが抜けているのは痛い。 前述の「歌伝説」ではテレビ東京から映像を借用し、紹介している。

「羽田発7時50分」は昭和46年放送「第22回紅白歌合戦」で歌われているのだが、NHKで映像を保存しておらず、後年視聴者(関係者)からエアチェック用の映像の提供を受け、それをアーカイブに収めるかたちで保存している。残念ながら提供された映像の保存状態が宜しくなく、特にフランクが出演している中盤の時間帯が酷いらしい。

それにしても、フランクの代表曲といえるこの3曲の歌唱映像がNHKに無いというのは半ば信じられない。

さて、このDVD、「歌伝説」を録画した人には不要かというと、そんなことは全くない。

・昭和42年放送「第18回紅白歌合戦」での「生命ある限り」
・昭和43年放送「歌まつり明治百年」における「ゴンドラの唄」「恋はやさし野辺の花よ」(共演:和泉雅子)
・昭和52年放送「ビッグショー・松尾和子」での「銀座ブルース」(競演:松尾和子, 和田弘とマヒナスターズ)
・昭和55年放送「第31回紅白歌合戦」での「恋はお洒落に」(競演:ニューホリデーガールズ)
・昭和56年放送「第13回思い出のメロディー」での「東京の屋根の下」(競演:八代亜紀)
・昭和56年放送「特集 歌謡ホール」での「無情の夢」

は番組で紹介されなかった映像である。
加えて、「歌伝説」では歌の途中までの紹介だった
・昭和59年放送「この人『フランク永井』ショー」での「My Baby's Comin' Home」
も堪能できる(ただし、「歌伝説」で流れた曲前のMCはカット)。

なおDVDでは昭和51年放送「第27回紅白歌合戦」での映像と紹介されている「東京午前三時」は、昭和57年放送「歌謡ホール」のものであり、「大阪ぐらし」は昭和55年放送「歌と笑いの大阪夏まつり」だと思われる。

DVDが単独での発売ならばともかく、あくまで特典の付属DVDであることを思えば充分な出来だろう。
まずはフランク単独での歌唱映像集が編まれたことを喜びたい。そして、次につながっていくことを祈りたい。
TBS編、テレビ東京編で映像集を作れば、代表曲の大半は映像で楽しめるのではないかと思う。

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# by hakodate-no-sito | 2016-02-24 12:52 | 歌・唄・うた | Comments(0)

徹子とミフネとブルーレイ

去年の暮れに、ブルーレイを導入しました。
かれこれ夏過ぎから検討をしていたのですが、今ひとつ魅力的なソフトがなく、先延ばしにしていました。それが、ポーンと思い立って「行こう」と。導入と相成りました。

これを、と思ったソフトは黒澤明監督作品の映画「天国と地獄」。
名作ですね。私は高校時代に観て、面白かったなぁ、という覚えがありました。

購入したのは東宝から発売されたブルーレイじゃなく、海外・・・アメリカで発売されたブルーレイ。
何でかというと、発売しているメーカーのクライテリオンというのが、その筋の方から絶賛されているクオリティの高いソフトを送り出しているメーカーだから。高画質・高音質は勿論、特典映像も一級の資料となる、好事家は勿論、後世の研究にも大いに役立つであろう、というもの。
そして、これだけのクオリティでありながら、日本版より安い。

こうなると、画質も音声もあまり改善されていない、特典映像もせいぜい予告編があればマシな、それで高額な、日本版を買う理由が見つからない。
DVDだとリージョンというヤツが関係して、フツーのDVDデッキやPCじゃ観られない(観るには色々手立てが必要)のですが、ブルーレイはリージョンというヤツが一緒なので問題ナシ。
もう、これは買うっきゃないです。

北米盤「天国と地獄」。
特典映像には、貴重なトシロー・ミフネのトーク番組出演映像収録とあります。
さあ、何でしょう、その番組。

♪ルールルルル ルールルルル・・・

英語字幕に表示される文字は「TETSUKO'S ROOM」。
映し出されるタマネギヘア。

はい、「皆さま、こんにちは、徹子の部屋でございます」。
1981年3月31日放送の「徹子の部屋」、ゲスト三船敏郎でした。

・・・実はこの番組目当てでブルーレイ導入しました(^^ゞ

特典映像といいながら、「天国と地獄」の話題は全然出て来ないのですが、貴重には違いないです。個人録画の映像ではなく、テレビ朝日に残るアーカイブ映像を借り受けたもので、画質は良好。海外と日本だと基準が違うのでしょうか、マスターテープに残っている提供スポンサーの紹介テロップもボカシなしで、そのまま。こういう形でのソフト化は初なんじゃないでしょうか。

三船芸術学院の宣伝やSHOGUNの話、生まれ育った大陸での話など、真ん中から横道までストライクな、興味深い話が30分。活字で知っていても、本人の肉声で聴けると同じエピソードでも、違って聞こえます。自分の中でカタカタと立体化して動きまわってくる気がします。

黒柳徹子も、三船敏郎も、艶っぽい。声がまた、グッと持っていかれる、良い声。
今や絶滅危惧種な、紳士淑女でありました。

去年の秋、ある程度私と話を合わせて下さる知人とお会いして、向田邦子の「冬の運動会」を観返したいとか、そんな話で2時間たっぷりやり取りしてきたのですが、その中で三船敏郎の話にもなりました。
「今どきの男の俳優に色気を感じる訳ないだろう。俺の理想は三船敏郎だよ。全然物足りない」
と、知人が大熱弁。
番組を見ていていて、そのことを思い出しました。あのとき、肯きましたが、足りませんでしたね。もっともっと肯定すべきでした、その通りです。

黒柳徹子については、言うまでもありません。
艶気と知性と気品と可愛らしさと怖さ、すべて兼ね備えているんですもの。
100点満点どころか120点、150点です。

私の好きな人たちは、こんなに素敵な人たちだったんだと再確認ができました。

私、黒柳徹子、大好きなものですから、なおのこと、「徹子の部屋」見入っておりました。
この前の大晦日、同級生等と年越し飲み会をしたのですが、酔っぱらってしまって覚えていないのですが、紅白の黒柳徹子を見て、私泣いていたそうです。

いちばん良かった頃の黒柳徹子を見てまもなく、今の黒柳徹子を見て、人生の千秋楽がすっかり近付いて来ているであろうこと、80歳を超えて60年のテレビ生活の集大成とも言えなくない紅白出演、往年のベストテンを彷彿とさせるシーン・・・いろんなことが脳裏に浮かんで、感情の整理がつかない涙がこぼれたのかなぁ、と自己分析しています。

「徹子の部屋」以外の特典映像も、充実。
山崎努のインタビュー映像(こちらは映画の話をたっぷり語っています)、まだ健在だった頃の黒澤明も出演している90年代に制作されたドキュメント映像(三船敏郎は既に健康を害していたからか未出演)。どちらも見ごたえ抜群。特に山崎努は一見の価値がある語りっぷりでした。

北米盤「天国と地獄」、機会があれば手元に置いて頂いて、ご覧頂きたいですね。
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# by hakodate-no-sito | 2016-01-07 21:23 | 古今俳優ばなし | Comments(0)

フランク永井邸には自宅スタジオがあったというおはなし

調べものをしていたら、フランク永井邸についての記事が出てきた。
東京は目黒にあった自宅は昭和38年1月ごろに完成。
100坪の敷地をうまく生かした建物で、洒落た庭もあったそう。
目を惹くのは、2階にあったという録音スタジオ。
常時歌の練習ができるように、と自宅を建てるにあたって唯一設計者に注文を出したのだそう。
昭和20~30年代の流行歌の歌い手で自宅に録音スタジオを持っていた人というのは殆ど聞いたことがない。
そう言えばクレイジーキャッツの谷啓が自宅録音で全くの趣味で多重録音した音源を多数制作していたという話があった。
最も谷啓は歌も歌っているけれど歌手というよりもミュージシャン、トロンボーン奏者だ。
フランク永井は、昭和60年の哀しい事故でキャリアにピリオドが打たれ家庭も崩壊。20余年を恍惚の人として過ごし世を去った。
自慢の自宅も亡くなる数年前に売却。跡地には駐日パプアニューギニア大使館が建設されている。

自宅のスタジオで、どんな歌が録音されていたのか。
レコードの吹き込みやステージに備えたリハ用のそれが録音されていたのだろうか。
趣味の落語を個人的に練習して一席やったものなんかもあったのだろうか。
また、そのテープは残っていないのか。

無いだろうと思いながらも、空想や「もしや」の思いが捨てきれず、いろいろ考えてしまう。
だいたい、昭和60年まで現役だったのだ。コンサートの映像ひとつソフト化されていないのは「どうして」と言いたくなる。
音だけでも良いから、30周年記念ライブの完全版を発掘・ソフト化してほしい。

アメリカと比べちゃいけないと分かっていたって、フランク永井の映像ソフトの無さは惜しい。
ブートレグでいいから流通させてくれよと叫びたくなる。

そんな、慢性的なフランク永井不足をいくらか解消してくれたのが、今月21日発売のアルバム「ザ・カバーズ~魅惑の低音 再び」(VICL-64429~30)。
初CD化音源多数。未発表音源も含まれている。収録音源の初出データも掲載されている。今までそういうデータは軽視されているので大きい前進。
ビクターの担当者は勿論、ファンの方も制作協力というかたちで噛んだことがこのアルバムのクオリティを高める支えになったのだと思う。
データ面で言うならば、これで(ボーカルの)録音年月日も併せて掲載されていれば完璧だった。

今回の目玉となる音源のひとつ、フランク永井が歌う「森の小径」(灰田勝彦の歌や鈴木章治とリズム・エースの演奏で知られている曲)は、佐伯孝夫リサイタルの実況録音。
未発表音源なのだそう。フランクの1曲が未発表音源として奇跡的に残っていたのか、他の歌手の曲も残っているのか、リサイタル全体の音源が残っているのか、非常に気になる。
フランク以外の音源が現存するのならば、ぜひともそれらも陽の目を浴びせて頂きたい。
フランク永井クラスの歌手ともなれば、未発表音源の類もいっぱい残っているはず。
いろいろ問題はあるのかもしれないが、今回のように、どんどん発掘・公開して頂きたい。熱望せずにはいられない。
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# by hakodate-no-sito | 2016-01-07 21:19 | 歌・唄・うた | Comments(0)

ラストライブ 岸洋子

10年来探していた岸洋子のCDが手に入った。

探していた…いや、それはちょっと違う。探していたには探していたけれど、どこかで聴くのが怖いと思っていた自分がいたから。

そこを突破して、何とか手に入れたいと本腰を入れたのは、先だって岸洋子の追悼盤と再会して「新しい世界」という曲を聴いてから。

おそらく最後のオリジナル曲。
歌手生活最晩年のものと思しきライブ音源。

往年のように声量豊かに歌い上げることも、伸びやかな高音も、思うようには出なくなっている。そこに10年前の私は「痛ましい」「可哀想」と感じ取り、歌も記憶も封印した。

それがどうだ。
今、聴いてみると印象が全く変わっている。

現段階で出せる声をどう使っていくか。
バリバリ歌えていた過去の自分との闘い。
考え抜かれた末に生まれたであろう、新たな歌い方。

温かみ。
圧倒的なスケール感。
奥行き。

歌い手としての持ち味、本質的な部分は微塵も揺るいでいない。

こんなに大きい人だったんだ。
自分の見る目の無さに頭を抱えながら、岸洋子に惚れ直した。

その情熱と執念を大きな身体に秘めながら、たおやかに在った岸洋子の最期の歌声、今聴きたいと強く思った。

あれだけ探してもない、あっても一歩違いでスルリと逃げられていたものが、いとも簡単に手に入った。今まで霧がかかって見えなかった、ごく近い場所に、それはあったのだ。

「岸洋子リサイタル'91 / ラスト・ライブ」(KICX-389)

1991年10月14日、東京厚生年金会館で行われた「岸洋子リサイタル'91」での歌声が収められている。病で2年間休業していた岸洋子の再起ステージだ。亡くなるおよそ1年前のうただから、ラストライブではないと思うのだが、コンサートの形態(構成演出)としてはこれが最後のものという意味で、ラストライブなのだろうか。

最小限の、でも腕利きのミュージシャンとともに奏でられる、名曲の数々。

あれだけの闘病生活、それだけでお涙頂戴の見世物になって、歌は2の次になっていたところで全く不思議じゃないのに、そういう次元にいない。歌に荒みがない。ちゃんと歌で勝負している。
会場にいたら、客席で泣いていたに違いない。

どうやったら、あんな歌が歌えるのだろう。

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# by hakodate-no-sito | 2015-12-07 21:11 | 歌・唄・うた | Comments(0)

希望という名の・・・

およそ10年ぶりの再会だった。

少し前、Amazonのサイトを特に考えもなく覗いているうちに、ふと思い立ち岸洋子で検索をかけた。
そうしたら、そのアルバムが有ったのだ。

岸洋子「希望」
KICS-301/302
1993年2月24日発売。

岸洋子の追悼盤だ。
1992年12月11日に亡くなったので、およそ没後3か月に出た計算になる。

岸洋子のベスト盤は今も昔の山のように発売されているが、選曲がしっかりしたものというのは残念ながら多くない。

このアルバムは初吹き込み曲から最晩年の歌声までで構成されたオールタイムベスト。
岸洋子の真髄と定評があったライブ音源とスタジオ録音が、それぞれ半々で収録されていて、聴きごたえは抜群。CD-BOXを買わなければ聴けない歌もしっかり収録されているところも嬉しい。

ブックレットも豪華で、「思い出のアルバム」と題したミニ写真集と、歌詞やプロフィール、ディスコグラフィ(残念ながら漏れが多い)に交友があった人たちの寄稿が載ったものと2種類。

寄稿している面々は和田誠、岩谷時子、下重暁子(元NHKアナウンサー、作家)、武藤辰彦(読売新聞記者)、安倍寧(音楽評論家)。

和田誠は、岸洋子のステージの構成演出も行っていることもあって、他の人たちよりも文章が長い。クレジットはないが、追悼盤の制作にも関わっているのかもしれない。であれば、このツボを心得た選曲も納得だ。


18歳の初夏、長い坂道を登って着いた、住宅街の中にある小さな図書館で、私はこのアルバムを聴いた。
それ以前に岸の代表曲「夜明けのうた」を聴いて、素晴らしい歌手であることは認識していた。

東京へ出たとき、地元・函館では出来なかった、自分が気になるs歌い手のCDをたっぷり聴きたい、と図書館めぐりをしていた中での出会いだった。

結果、岸洋子は私の中で確固たる存在になった。
「想い出のソレンツァーラ」「黒い鷲」に、山形弁で歌う「ラストダンスは私に」が耳について離れなくなった。

10年経ったいま、こうして、想い出のアルバムと再会してみると、どうしてこの歌をきちんと聴いていなかったのだろうと思う曲だらけだ。


岸洋子のお国・山形の歌「最上川舟唄」。
(この歌は、その後岸洋子出演の歌番組「ビッグショー」の再放送や、ダークダックス版で気に入った覚えがある)

ミレイユ・マチューのヒット曲「別れの詩」。
(これは伊東ゆかりの還暦コンサートで岸洋子の想い出話やレコーディングまでしながら権利関係で新アルバムに収録できなかった裏話を交えて、披露されたのを聴いてから気に入る。岸版自体はそれから何年も経って、20周年リサイタルのライブ盤を聴いてからスッと染みてきた)

シャンソンの中でも古い歌のひとつ「さくらんぼの実る頃」。
(CD化されていないが高英男の歌唱が絶品。岸洋子もこの歌がお気に入りで自叙伝の題名に使ったほど)


・・・挙げていけばきりがない。

年齢を重ねてから聴いて、どうしてこんなものが好きになったのかと苦笑してしまうものもあるが、岸洋子の場合はどんどん染みてくる。


2枚組のCDは「新しい世界」という歌で〆られる。
作詩:和田誠 作曲:佐山雅弘

91~92年のライブから取られたと思しき、最晩年の歌声。おそらく最後のオリジナル曲。
89年に倒れ、2年間の休業を経て91年に復帰した岸洋子。
往年のように声量豊かに歌い上げることも、伸びやかな高音も、そこにはない。
にもかかわらず、圧倒的なスケール感。奥行きがある。ぐいぐいと迫ってくる。

肉体的なハンディを乗り越え、歌い手として最後まできらめきを放ち続けていたことが、わかった。

10年前の私は、「最晩年は声も出なくなって可哀想」なんて思って、封印してしまったのだろう。
不明を恥じるばかりだ。

岸洋子のライブ盤は何枚か持っているが、どれも素晴らしい。
特に20周年、25周年のアルバムは愛聴盤として、携帯音楽プレーヤーやiPhoneには常にしのばせて、いつでも聴けるようにしてある。

この最晩年のライブも聴いてみたい。


聴いてみたいというと、岩谷時子の寄稿文(これがまた泣かせるのだが)にこんなくだりがある。

>私は一つの約束をしたことがある。
>「東北の民話を、いくつか選んで詞にするから、その土地の言葉で歌ってみない?何年かかってもいいじゃない」
>「うん、面白そうね」
>そう言っていたのに、岸さんは、いなくなってしまった。

岸洋子と岩谷時子の相性は、「夜明けのうた」と「黒い鷲」を聴けばわかるが抜群だ。
実現していたら、新派作品を歌にした「ATASHI」(水谷良重)のような、他に類がない、素晴らしいアルバムが出来上がっていたに違いない。

惜しまれてならない。
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# by hakodate-no-sito | 2015-11-07 21:09 | Comments(0)