年齢不詳な若人が唄の話を中心にアレコレと・・・


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過ぎし日よ私の学生時代

ペギー葉山さんが4月12日に亡くなりました。

今年に入ってもステージは勿論メディア出演も行っていて、レコードデビュー65周年ということもあって、これからもいろいろ露出は多いだろうと楽しみにしていただけに、このような形でお目にかかることになってしまうとは予想だにしていませんでした。

というのも、先だって雪村いづみさんの80歳記念も兼ねたバースデー食事会(クローズド・イベント)の席で「夏にペギーさんが面白いコンサートをするので、貴方も来られるようならぜひいらして」とお誘いがあり、すっかりその気になっていたのです。

私が今のような歌好き人間になるずっと前の、いたいけな小学生の頃から、ペギー葉山という人は知っていました。断っておきますが、我が家は親類含め私以外に懐メロ好きな人間はいないので、環境は全く整備されておりません。そんな不毛地帯で、僅かに芽生えていた認識の人たちが、美空ひばりに石原裕次郎、島倉千代子、三波春夫、村田英雄、並木路子に雪村いづみといった人たちなのですが、ちょっとだけペギーさんの方が認識するのが早かったのは「ドレミの歌」のおかげでした。

「『ドレミの歌』(の日本語詩)を書いた人」
「なんだか知らないけど凄いひと」
「南国土佐がナンタラの方」

もっとも、そんな認識ですけれどね。
(いま現在の年齢でもこのぐらいの認識があれば充分だと思われますが)

何かの番組で「今年は海外でもペリー・コモが亡くなって・・・」とペギーさんが話して
いるのを聞いて、何だか知らないけれどペリー・コモという人は偉い人らしいとインプットさせたことを覚えています。後にこれが役に立ちました。

懐メロ番組で本当によくペギーさんは拝見しました。
人選がつまらない番組でも、お恵ちゃん(松山恵子)や雪村さん、ペギーさんが出演とあれば、まずは録画(視聴)していました。

「南国土佐を後にして」「学生時代」「ケ・セラ・セラ」「ラ・ノヴィア」「つめ」「切手のないおくりもの」「神様がくれた愛の道」「夜明けのメロディー」・・・

そうそう、先だって亡くなったデビー・レイノルズが歌った「タミー」も、ペギーさんの歌経由で知りました。横文字苦手な洋楽初心者である私とって、とっかかりを作ってくれた人のひとりが江利チエミさんであり、雪村いづみさんであり、高英男さんであり、岸洋子さんであり、越路吹雪さんであり、ペギー葉山さんでした。

近年は足腰の不調を見せたりちょっと小さくなってしまわれて、お歳を実感し淋しくなりつつも、歌声の健在ぶりに「まだ、大丈夫」「元気なうちにまた生歌聴きに行かなきゃ」と思っていました。

一昨年の10月、日比谷公会堂で越路吹雪のトリビュートコンサートが催されました。
日比谷公会堂が改修工事に伴う閉館間近ということに加えて、出演陣が水谷八重子、雪村いづみ、ペギー葉山がそろい踏みとあっては、ムリをしてでも行かねばならぬ、と腹を決め上京しました。

そのとき、9年ぶりにペギーさんの生歌を聴けました。
前回も日比谷公会堂でジャズフェスティバル、あのときは御主人の根上淳さんの喪に服す意味合いか黒いイブニングドレスを召して「我が心に歌えば」などを唄っていたことを覚えています。
それから9年、あのときは大きく見えたペギーさんがすっかり小さくなって、ちょっと歩くのが辛そうに見えました。
それでも、さすが頂点に位置する大ベテラン。1コーラス目は往年のように舞台を駆け回り、2コーラス目はピアノにもたれムードを出して唄うという演出で、きちんと魅せていました。
歌は衰えを知らず、ますます円熟味を増し、無駄をそぎ落とし、これが歌という極致を見せていました。

そのとき、歌ったのは越路吹雪の追悼曲でもある「シャンソン~ひとりの歌い手~」。
作詩・曲アダモ、日本語詩岩谷時子。
ペギーさんの中でも特別なレパートリー。
良い歌ではありますが、テレビではめったに聴けない歌で、まさかこの歌を聴けるとは思っておらず、嬉しい誤算でした。

♪いなくなった歌い手ひとり 声が残るだけ
シャンソン シャンソン これがシャンソン シャンソン…

最初に聴いたときから年月を経るに従い、この歌を聴くとき、私の中では越路さんに限らず、深緑夏代や石井好子といった面々も浮かんでくるようになっていました。

このときでの公会堂でも、そんな思いが胸をよぎっていました。
こんなに味わい深い歌を歌える人なんだなと改めてペギー葉山という歌手を好きになりました。

それから、ベスト盤の類ではなく、オリジナル・アルバムを何枚か買って、聴くようになりました。

ハンク・ジョーンズとのコンビで唄った「お久しぶりね」「よさこい・いん・JAZZ」に、若さとファイトで戦後30年の洋楽ヒットナンバーを高らかに歌い上げた「ポピュラー30年史」、そして名コンビ秋満義孝と吹き込んだ「絆」。

万葉集を題材に、ペギーと親交のある「誰もいない海」の作詞家・山口洋子が詩を書き、大塚博堂、来生たかお、南佳孝、西谷翔、米山たくみという5名の昭和54年当時新進気鋭のシンガーソングライターが曲を書いた名盤「万葉の心を求めて」。

手もとにあるオリジナル・アルバムはどれも高水準。
さすがに2000年代以降は全曲新規録音によるオリジナル・アルバムは出せなかったようですが、それも節目の記念曲等で今の歌声で新しいレパートリーを世に出し続けていました。「夜明けのメロディー」のスマッシュ・ヒット、「結果生き上手」の演歌・歌謡曲チャートで好評、とレコード歌手としても現役の顔を見せ、つい最近も新曲を発売したばかりでした。

時代を代表する大ヒット曲を幾つも有し、長年にわたり第一線で活躍し、日本歌手協会の会長職も務め、晩年もヒット曲に恵まれ、生前最後のステージが敬愛し止まなかった越路吹雪のトリビュートコンサート。大好きな宝塚のOGに囲まれながら歌った「スミレの花咲く頃」がラストソングとは、見事なまでの人生の幕引き。秋には65周年のコンサートの予定もあり、体調を崩す前日もコンサートのリハーサル。最後まで歌手として需要があり続け、現役真っ只中で、患うことなくスッと姿を消した。
拍手、拍手、で送りだすにふさわしい千秋楽ではありませんか。
あっぱれ、としか言いようがないです。まさしく「結果生き上手」。

・・・でも、こちらは茫然としています。
今も去年出演したラジオの録音を聞いていたのですが、お元気そのもので、死の影など微塵も感じません。到底信じられないのです。

http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/04/13/kiji/20170413s00041000145000c.html

多くの人が、コメントを出していますが、レコードデビューが同じ年の雪村さんのコメントが沁みます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
うそでしょう!何やってるのよ、ペギー!って言いたいです。
ひばりちゃんもチエミちゃんもあまりに早いときにお別れしちゃったから、そのあとはあなたがいるから私も歌えるって思っていました。いい意味でいつもライバル。でもペギーはとてもいつも落ち着いていてお姉ちゃんって感じで私を引っ張ってってくれました。あまりに思い出が多すぎて。ひばりちゃんやチエミちゃんにあちらで会って、一緒に楽しい第二の人生を送ってね!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

それにしても「ペギーさんがいる」、これがどれだけ大きいことだったか。
当たり前のようでしたが、アメリカのポピュラーソング、ジャズ、ポップス、ミュージカル・ナンバー、童謡、唱歌、抒情歌、こどものうた、歌謡曲、南国土佐・・・これだけ幅広くジャンル横断で唄った歌い手がどれだけいるのか。また、その中で健在な、雪村さんらとともに最後の砦というべき人たちのひとりでした。
私が大好きな歌の時代、1950~70年代に現役で駆け抜け、過去と現在をつなぎ、あの時代の匂いと現在の感覚を同時に見せてくれる、希少な歌い手でした。
小さい頃から20年、ずっと見てきた、いることが当たり前の存在でした。

少し前のかまやつひろしの死もキツイものがありましたが、今度のペギーさんの急逝は、もはやどうしたらいいのかわからないのです。
哀しいとかショックだとか、そういうのではなく、ただ、ただ、茫然と立ち尽くしている、そんな感じなのです。
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by hakodate-no-sito | 2017-04-18 20:53 | 歌・唄・うた | Comments(0)

サヨナラ日比谷公会堂

良い夜でした。
約半年ぶりに上京した目的のひとつは、日比谷公会堂で催される越路吹雪音楽祭の鑑賞。ヅカは正直苦手なんですが、知っている方がプロデューサーで関わっているのと、ペギー葉山、雪村いづみ、水谷八重子と私の大好きな方が揃い踏みというのと、今年度末で日比谷公会堂が一時閉鎖(改築)という、気にかかる3つの要素があり、重過ぎる腰を上げました。

結論からいうと、ヨカッタァ!
人選にはTさんが関わっているだけあって歌える人ばかり。得意ではない宝塚ですが看板を張った人たちばかりだけあって、思った以上に楽しめました。なんたって舞台映えするんです、全員。
そして歌わされている感がまったくない。

演奏が宮間利之とニューハード(をベースにしたスペシャルバンド)。20人以上いて、腕利きとあって、サウンドはゴージャス。歌い手がさらに引き立ちますし、さして興味がない歌手が出ているときも耳は常に幸福なので、ステージへすぐ意識が向かいます。

目当ての御三方は、目当てだけあって、好きであることを裏切らない、ますます好きにさせてくれるステージ。
大好きな水谷八重子ですが、正直に言って今もあれだけ歌えるとは思っていなかったです。嬉しい誤算でした。

ペギー葉山を前回観たのは、やはり日比谷公会堂でした。あれから9年。御御足が少し悪いのかなと思いましたが、歌いっぷりは今回の方がずっと良くて、また途中ピアノにもたれながら歌う姿が絵になっていて、こんなに凄い人なんだと感銘。
雪村いづみは「愛の讃歌」。越路吹雪が使っていた譜面で歌われていました。声が出ること、出ること。

ペギー、雪村の御両人はお歳を考慮してか1曲づつでしたが、あの歌いっぷりを見れば、もっと曲数多く聴きたかったですね。
ペギー・雪村・水谷、それぞれで越路吹雪を歌う的なワンマンコンサート見たいなぁとも。

御三方以外だと涼風真世の細さにビックリ。柳の小枝って、あんな人を言うのでしょうか。あの細い身体からどうやってあんな歌声が出てくるのか。
(おかげで次に出てきた水谷八重子が余計恰幅が良く見えるマジック。しっかり八重子サン、ネタにしてました笑)

雪村いづみの「愛の讃歌」に限らず、越路吹雪が使っていた譜面で歌われた曲数も多々あって、知っている歌が生バンドで、知っているアレンジで聴ける幸福。

最高の2時間でした。
華やかな想い出と共に日比谷公会堂を心に残せて、本当に嬉しいです。
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by hakodate-no-sito | 2015-10-23 23:13 | 歌・唄・うた | Comments(0)