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年齢不詳な若人が唄の話を中心にアレコレと・・・


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法善寺横町

高校の修学旅行、大阪での自由散策時間で、私は法善寺横町へ参りました。
喧騒感たっぷりの道頓堀から、路地へ入るとまったくの別天地。

夕暮れどき。
雨に濡れた石畳に、キラリと反映される、ほの暗い街灯。
全身が苔に覆われた水掛不動。
ひっそりと建てられた「月の法善寺横町」の歌碑。

台風接近というときでしたので、人もあまり居らず、それがなおのこと上方情緒を引き出していたのかもしれません。

本屋で長谷川幸延の「法善寺横町」(タチバナ文芸文庫)を見かけたとき、そんな昔のひとときが、ふと蘇りました。

前の日に、村上元三の「思い出の時代作家たち」(文藝春秋)という本を読んでいて、そこに長谷川幸延についても載っていた、というのも後押しでした。

長谷川幸延。
往年の作家、劇作家で、長谷川伸の門下でもあった人。
「殺陣師段平」「桂春団次」などが代表作。

読んだことはありませんでしたが、名前ぐらいは知っています。
頭の中で、既に芸道に生きる人の人情ドラマが展開されつつあります。

お持ち帰りしまして、読みました。

ちょっと想像とは違いました。
「法善寺横町」という本の題名から、ここを舞台にした短篇が並んでいるものだと、思い込んでいたんですが、これは10篇収められたうちの1篇の題名で、他の作品は別に法善寺は関係ないのです。早トチリでした。

もうひとつ誤算がありました。
この本、昭和17年に発売された短篇集を、平成22年に復刊したものでした。
昭和17年というと戦時中。
本に載っている短篇でも、戦争が話に絡んでいるものが多い。
面食らってしまいました。

では、つまらなかったか、というとそんなことはありません。
ときに興味深く、実に面白かったんです。

関西新派や新国劇などの舞台脚本も多く手がけた人なだけあって、作品が往年の新派や大衆演劇の匂いがあって、それが私にはたまりません。何ともいえない情緒があるんですよね。

それに、戦時下の大衆小説なんて、読めそうで読めません。戦争賛美がどうと問答無用で黒歴史化されていますのでね。大衆小説と戦争がどう反映されていたかを知る、いい機会、資料でありました。
戦争賛美描写も、別段違和感はなく、当時の大衆はこうであったろうという、自然なものです。
それは芸人であったり、職人であったり、役者であったり、少なくとも偉い立場にある人が出てこない、等身大の人間、大衆の想いを描いた作品ばかりであるからなのでしょう。
戦時色はあっても、腕のある作家が、仕立てた小説は、やはり魅力的でした。
泣かせの入った作品もありますし、ややイージーな世話物になっている作品もありますが、総じてレベルは高いです。

機会があれば、長谷川幸延作品、また読んでみたいですね。
著作はほぼ絶版、一部舞台の原作者としてかろうじて名を留めるのみ、というのが現状ですが、古本の森には忘れ去られた名作が眠っているように感じてなりません。
by hakodate-no-sito | 2013-07-02 13:28 | つぶやき