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年齢不詳な若人が唄の話を中心にアレコレと・・・


by hakodate-no-sito

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一周忌

一周忌_e0134486_9322124.jpg


一週間ほど休暇を貰った。
チケットと値段の関係で、宿舎のある場所から函館の実家まで帰る飛行機の時間は夕方になった。少し時間が空いたので、空港からも比較的近くにある、ある歌い手の墓所に参ることにした。
最初は一人で、と思ったが、同世代の懐メロ仲間I氏を誘い、二人で行くことに。

「遅くなりました」「一年ぶりですね」
駅前で待ち合わせたI氏は相変わらず活動的で、この日もこれから沖縄へ飛ぶという。

沢庵や賀茂真淵が眠る墓地の一角に、歌い手は眠っていた。すぐそばに線路があり、頻繁に電車は通っているが、適当に静かで適当ににぎやかだ。いい場所に墓を建てたと思う。

熱心なファンが度々訪れるらしく、墓石は土ぼこり一つ付いておらず、供えたての花は幾つも並んでいた。

「淋しくないですね、きっと」
「そうですね」
墓の後ろに回ると、故人の名前とともに、忍という名前も刻まれていた。
生まれることの叶わなかった故人の子どもの名前だ。歌手ひとりで眠っている訳ではなかったのだ。
その名を見たとき、無機物であるはずの墓に歌い手の体温を感じた。
墓石に刻まれた、「こころ」という文字が一層迫ってきた。改めて手を合わせた。

一周忌_e0134486_9325027.jpg


「そろそろ行きますか」
気がつくと、降り出していた雨は強くなっていた。名残り惜しさはあれど、帰ることに。
来たときには気にならなかったどんぐりの実が、やけに足もとをすくおうとしていた。

「何だか実感わきませんね」
「まだ歌っている気がしますよね」
帰り道も同じ話になった。
I氏はラジオ番組の公開録音のステージを見ている、私は京都駅で見かけたことがある。
生の姿を見ているだけに、そういう思いが余計に強くなるのだろう。

歌い手が逝って、もうじき一年になる。
まだ私の中では、半分生きている人だ、島倉千代子という歌手は。
# by hakodate-no-sito | 2014-11-03 00:47 | 歌・唄・うた

VOICE

発売されていたこと自体すっかり見落としていた由紀さおりの新アルバム「VOICE」。
気に入っております。

正直に申し上げて、聴く前はあまり期待しておりませんでした。
というのも、ピンク・マルティーニとのコラボアルバム「1969」も、前作アルバム「スマイル」も、今ひとつピンと来なかったのです。ちょっと違うんだよなぁ、という思いがぬぐいきれず。

CDについている帯をながめていると、45周年の文字が目に入って来ました。
5年前、東京・国際フォーラムで開催された40周年コンサートのことを思い出しました。
由紀さおりが「もう一度歌謡曲を歌いたい、21世紀の歌謡曲を」と、アルバム「いきる」を引っ提げて、行ったコンサートです。

「いきる」は今でも大好きなアルバムです。
往年と比べ、やや低くなった声質を生かした、現在の由紀さおりならではの歌がつまっていたと思います。

海外からの波に乗ってヒットし、紅白復帰も果せた、アルバム「1969」は、確かに気に入っている歌もありますが、あくまで往年の歌謡曲イメージに乗って作られた感があり、リスペクトという点ではバッチリでしたが、情念に寄った(現在の)低音の歌声を生かし切ったか、というと疑問です。

今回の「VOICE」は、現在の由紀さおりの歌声が全面に押し出されています。
歌の巧さがストレートに伝わって来ます。
ノリありきではない、良い歌をじっくり聴かせてくれます。
「四つのお願い」や「恋のバカンス」という軽めの歌もチョイスされているのですが、それがまた聴かせるのです。サラッと唄いつつ、達者ぶりが滲んでいます。年輪ですね。大人の歌です。

「真夜中のギター」は「1969」収録候補曲、「みんな夢の中」は40周年コンサートでも披露された曲。満を持して、待望の、という気もします。

秋から冬への移り変わりを感じる、いまの季節。いっそう沁み入る歌声です。
# by hakodate-no-sito | 2014-10-30 23:43 | CD視聴感想

東京の休日

半世紀以上前の日本映画に、「東京の休日」という作品があります。
主演は山口淑子。
結婚のため、芸能界を去ることになった彼女の引退記念作品です。

どうということのない映画ですが、さすがに一世を風靡をした伝説的スター女優を送り出すだけあって、当時の東宝の人気スターがひっきりなしに顔を出しています。

往年の娯楽映画に付きものの歌のシーンも、山口淑子本人を筆頭に、越路吹雪、宮城まり子、雪村いづみ・・・と、いずれも名を遺す面々。
雪村いづみは「チャイナ・ナイト」(レコード未吹き込みだったはず。歌声もビジュアルも太鼓判)。
宮城まり子は「かまくら」(この曲は去年発売された宮城のCD-BOXに収められています)
越路吹雪は・・・何でしたか、民謡だったか俗謡だったか、その辺りでした(越路といえばシャンソンですが、こういう洋楽調のアレンジで和モノを歌うことも当時の音楽シーンの流れでやっていて、これがまた艶っぽいのです)。

山口淑子はというと、「夜来香」。
この映画を初めて見た時、「ホンモノが唄っている」といたく感動したことを覚えています。
世代的なものなのか、関心の度合いの関係なのか、唄う山口淑子の姿をあまり知らない身には、彼女が唄う姿というと、サヨナラ日劇での不調気味な「蘇州夜曲」と、この映画での「夜来香」なのです。

渡辺はま子やテレサ・テン、胡美芳・・・といった面々の歌声も耳に残っていますし、どれも大好きですが、やはり「夜来香」というと山口淑子の歌声が一番に浮かんできます。
昭和の歌の歴史のなかでも、ひときわ輝き、また時代の流れに翻弄された、唄う映画女優・山口淑子。李香蘭。
昨年の田端義夫の訃報、そして山口淑子の死。
これでとうとうあの時代の、戦前・戦中・戦後の大スターが皆鬼籍に入ったということになるのでしょうか。

♪つきぬ想い出の 花は夜来香
 恋の夜来香
(日本語詩:佐伯孝夫)

合掌。
# by hakodate-no-sito | 2014-09-14 10:35 | つぶやき

夏の思い出

夏がくれば 思い出す
はるかな尾瀬 遠い空

日本のスタンダードといっても過言じゃない曲「夏の思い出」。
65年前にNHKラジオでこの歌をうたい、世に送り出したのがシャンソン歌手の石井好子でした。
今日7月17日は彼女の祥月命日。
亡くなって4年になります。
随分月日が経ったようにも、つい最近のような気もします。
この季節になると、パリ祭の宣伝でメディアへ積極的に顔を出していたことを思い出します。
1ヶ月で「徹子の部屋」「スタジオパークからこんにちは」と続けて出られたのは2008年の夏だったように思います。
マイクを握って唄ったのは、この年が最後でした。
2009年の「パリ祭」、美しい銀髪となって、悠然と挨拶に現れた石井好子。
唄うことは叶いませんでした。
本当はステージを歩くのも精一杯だったのだと思います。
それでも、身体の辛さをおくびにも出さず、美しい笑みを湛えて、ステージに立った彼女。
もう一度、観たい人です。

まなこつむれば なつかしい
はるかな尾瀬 遠い空

2年前、制作のお手伝いをした、追悼盤「LE GONDOLIER」を聴きながら。
# by hakodate-no-sito | 2014-07-17 10:38 | つぶやき

EVERGREEN☆HIBARI

CDが売れなくなったと言われて随分経つ。
かと言ってネット配信の時代と言い切るまでには、至っていない。
一方でレコードも復権を果たしつつあるが、これは言わば嗜好品的な立ち位置。ファンや好事家のもので、以前のような大衆的なものではない。
こういう情景を見ていると、レコードからCDの切り替えがよくここまでスムーズに行ったものだと思う。
先日、中古ショップを覗いていたら、探していたCDアルバムを見つけ、二も無く確保した。
「EVERGREEN☆HIBARI」
1983年、日本コロムビアから発売された、美空ひばり初となるCDアルバムだ。
(最も私が入手したのは2001年に紙ジャケットで復刻されたものになるが、内容は同じだ)
CDと略さずコンパクト・ディスクと正式名称で呼んでいた、出来たてホヤホヤの新メディア。
まだ未知の領域にあったCDを、歌謡界の女王・美空ひばりがいち早く導入していたという事実はもっと語られていいはずだ。
さて、このアルバムは、CDというメディアに合わせて、膨大なレパートリーの中からお馴染みのヒットナンバーを12曲、当時最新鋭のデジタル方式でレコーディングしたものだ。
選曲は王道中の王道と言ってもいい曲に近年のヒット曲が2曲。まさしく「演歌の女王・美空ひばり」らしい磐石の構成で臨んでいる。

美空ひばりはヒット曲の再録音の機会が多く、聴き比べには困らない。
本アルバムでの歌声はというと、円熟味ということに尽きる。
声質という点ではピークを過ぎて、下り坂に入っていたことは否めない。
具体例を上げると、高音部で声が時折掠れたり、お得意の地声から裏声への切り替えが今ひとつだったり、という点。

その声質の衰えをカバーしているのが圧倒的な歌唱技術。加えてリズム感。これらによって緩急自在に喉をコントロールし、歌に表情・情景を付けてゆく。
デジタル録音の技術のおかげで悪い点も良い点も含め、これらの声がしっかりと録音されて聴こえて来る。
前述の衰えが目立つ「花笠道中」でも、この圧倒的な腕でもって、表情たっぷりに歌い切り、作品として及第点に持っていっている。

デビューの頃、子ども時代の美空ひばりはゲデモノと随所から叩かれていたことはご存知の人も少なくないはずだ。
今、その時期の録音を聴くと、ひっくり返る。
声変わりもしていないような小さい子どもが、グルーヴ感満載の歌声で、異様なエネルギーを放出しバシバシ歌をこなしていっている。
テンポの早い歌がありふれた昨今でも、この歌声の持つリズム、うねりは尋常じゃないと感じる。まして60余年前だったらと考えると恐ろしい。ゲデモノと呼びたくなる気持ち、わからないでもない。

異端の存在から歌謡界の女王という中心・頂上にまで上り詰めた美空ひばり。
「EVERGREEN~」に収められた歌声には、デビュー当時の竜巻のような爆発力はない。
その代わりに貫禄がある、長年歌って身につけた説得力がある。歌における演技性がある。

これらに前述の歌唱技術、リズム感を以て聴かせるのが「リンゴ追分」であり、「ひばりの佐渡情話」であり、「悲しい酒」だ。
女王の称号は伊達ではない。圧倒される。

以前のような「押し」だけじゃない「引き」も心得ているようになったところに、歌い手としての懐の広がりを感じる。
(この懐の深さは最晩年を以てピークを迎える)

ファン向けのアルバムかもしれないが、不世出の大歌手の円熟期を余すことなく収めたアルバムとして、私にはたまらなく愛おしい。
# by hakodate-no-sito | 2014-07-07 10:33 | CD視聴感想